山村修『遅読のすすめ』新潮社、2002年、173頁
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本書は、読書法に関する本で、「ゆっくり読む」こと、すなわち「遅読」について語られている書籍です。
なぜ「遅読」なのか?
本を「ゆっくり」読み、ときとして「感動する」文章に巡り会ったとき、現実にはほんのいっときだとしても「時間は果てしなくわきおこり、ひろがり、みちる」「そんな気分に包まれる」と。
そのような「読書のよろこび」を感じられるのは、「本をゆっくり読むようになってから」だと語られています。
たしかに、速読では得られない幸福感かもしれません。
そして、このような幸福感を得られた書籍として、2冊を取り上げています。
夏目漱石『吾輩は猫である』と北村薫『詩歌の待ち伏せ(上)』の中で「三橋敏雄の俳句に出会ったとき」だと。
「ゆっくり読む」と聞くと困惑しますが、著者の考える「遅読」は「1週間に1冊、したがって月に4冊から5冊」の読書量です。
また、著者は「必要があって本を読むとき」、「それを読書とは思っていない」と。
それは、「調べる」あるいは「参照する」と考えているようです。
いずれにしても、1週間に1冊くらいだとすると、もう少し読む前に"読む本"を選択する必要があると考えさせられた一冊でした。
ちなみに、本書では読みたい本に出会ったときにすべきこととして、ヘンリー・ミラー『わが読書』(田中西二郎訳、新潮社、1960年)に書いてある方法が紹介されていました。