「結果を出すリーダーの条件」PHPビジネス新書
この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
吉越 浩一郎さんの「結果を出すリーダーの条件」を読んだので紹介します。
発売日:2012/9/19
出版社:PHP研究所
新 書:206ページ
プロフィール
吉越 浩一郎(よしこし・こういちろう)
1947年千葉県生まれ。
上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。
メリタ香港の勤務を経て83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社、86年よりトリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)に勤務。
87年代表取締役副社長、92年に代表取締役社長に就任し、2006年に60歳になるのを機会に退社。
その間、同社では即断即決経営を武器に19年連続増収増益を達成。
早朝会議、デッドライン、残業ゼロ等の経営手法を取り入れ、効率化を図り会社を急成長させた。
現在、東京と、夫人の故郷である南フランスの2か所を拠点に、余生ではない「本生」を実践しつつ、国内各地で幅広く講演活動、執筆を行う。
はじめに
本書は、これから自分の力でリーダーになろうと思っている人たちのための書である。
もちろん、こうすれば確実に立派なリーダーになれますという答えはどこにも書いていないが、リーダーになるためのヒントは満載だ。…自分に徹底的に厳しくならないかぎり、本物のリーダーにはなれない…。
「リーダーは徹底度」、これが本書の合言葉だ。
第1章 95%の暗黙知を手に入れろ
…暗黙知は教えられないが、リーダーを育てる手がないわけではない。要するに、その人が自分で学び育つ人間になればいいのである。
教えてもらうという受け身の姿勢では、絶対にリーダーになれないことを知っておくべきである。長くGEのCEOを務め、二十世紀最高の経営者のひとりと称されているジャック・ウェルチは、リーダーの条件に次の「四つのE」を挙げている。
1、Energy 仕事を成し遂げる情熱の持ち主
2、Energize 組織を活性化できる
3、Edge 厳しさをもち、困難な決断ができる
4、Execute 実行力…メンバーにとって好ましくないような性格の人間であったとしても、組織に大きな利益をもたらす最善の判断ができるなら、部下はその人をリーダーとして認めるし、尊敬もするのである。
部下に好かれようなどと余計なことを考えていたら、肝心の判断軸がぶれてしまう。リーダーの評価は結果がすべてなのである。
リーダーシップを身につけるためには、これまでにないほど自分に厳しくすることが求められる。徹底的に甘えを排さなければ、リーダーにはなれない。
コラム リーダーに英語は必須
…英語が使いこなせると、人との出会いや仕事のチャンスも広がって、人生が豊かになる。ITの発展でこれだけ世界の情報がとりやすくなったいま、英語を使えないことがどれだけの損を生んでいるか、考えてみればわかるだろう。
第2章 有能と無能の境界線
…リーダーの条件の一つとしてよく挙げられるユーモアのセンスもそうであろうし、社内の情報の共有化、透明化も役立つはずだ。
部下のストレスを気にして仕事を減らすのではなく、どうやってストレスに対処していくかを部下に習ってもらうことも重要だ。こちらのほうがよほど生産的ではないだろうか。ジョンソン・エンド・ジョンソンには、会社や社員の進むべき適切な方向を指し示す「我が信条(Our Credo)」があって、これには四つの責任が明記されている。…
第一は、顧客に対する責任。
第二は、全社員に対する責任。
第三は、地域社会及び全世界に対する責任。
第四は、会社の株主に対する責任。これをみてもわかるように、会社の優先順位はまず自分たちの顧客、それから社員、その次が社会、そして株主なのである。
もし営利企業なのに社会貢献を一番にもってきたり、株主を最上位に置いたりしたら、その会社はすぐに機能不全を起こしておかしくなってしまうだろう。
とくにリーダーは、この順番を間違えないよう常に心掛けるべきだ。…ジャック・ウェルチはリーダーの評価基準に、企業文化への共感度合いと成果達成度の二つを挙げている。
日本のリーダーがほめることにこだわるのは、山本五十六の「やってみせ、言って聞かせ、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」という部分の言葉だけがあまりに浸透しすぎたからかもしれない。
だが、あの言葉には「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」という続きがあるのだ。
…
リーダーが参考にしなければならないのは、実はこの後半の部分なのである。
第3章 結果重視、即行、トップダウンを徹底せよ
…自分より上の立場からの命じられたことだとしても、それを部下に伝える際にはあくまでも自分の意見として伝えるということも、部下との信頼を築くために忘れてはならないことのひとつである。
「社長命令だから」「会社の決まりだから」と但し書きを付けて伝えたら、これは自分の責任ではないといっているのと同じである。要するに、リーダーがその課題解決に命を懸けていないということだから、これでは部下が必死になるはずがない。
当事者意識のない命令では、人は動かないのである。
第4章 恐れと遠慮を捨てて導く力を
…リーダーというのはそもそも、研修を受けたり本を読んだりしたくらいでなれるような、簡単なものではないのである。
理想のリーダーとなるためには、うまくいかなくても強い意志をもって、何度も何度も挑戦するのである。試行錯誤を繰り返さないで成長することはできないのだ。
その過程で、私利私欲を捨てることや、高い倫理観をもつこと、部分最適ではなく全体最適を当たり前として考えられるようになることなども、併せて自分に厳しく課していく。
…
そして、自分に対するのと同様に部下にも厳しく接すること。そうしないと部下が育たない。
「成功するまでやれば、必ず成功する」
最後にこの言葉をすべてのリーダーに贈ろう。
以上、
本書は上記の言葉で締めくくられている。
明確なビジョンを持ち、目標達成させるという熱意を持ち、全力で取り組むことが大切であり、そういった生き方がリーダーには必要なのだと改めて考えさせられました。
リーダーシップ論を学んでいる人、すべての職務のマネジャー、組織の中で働く我々に力強く投げかけられた言葉は、学ぶところが大いにあると共に、勇気づけてくれる一冊だと思います。
本書を読み「あるべき姿のリーダー像」を感じ取り、もう一度、自分の考えと行動を改めることにより、現状からの脱却、生活の質の改善・向上に役立つ内容だと思います。
「19年連続増収増益を達成」した著者の言葉の重みを皆さんも感じてみてください。