相手を説得のする方法:普遍的な説得の原理、工夫と技術で結果が変わる
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相手が誰であれ、説得のやり方をほんの少し工夫するだけで他者の行動は劇的に変わります。他者に影響を与えたり、説得したりする方法をご紹介します。
6つの普遍的な説得の原理
権威:専門家に指示を仰ごうとすること
好意:好意を持つ相手ほど賛同したくなること
希少性:手に入れにくいものほど欲しくなること
反報性:恩恵を受けたら報いなくてはならないと感じること
一貫性:自分のコミットメントや価値観と一貫した行動を取ろうとすること
社会的証明:他人の行動を指針とすること。
人間に内在する単純で強力な3つの要求
①なるべく効率的に正しい判断をしたいという欲求
②他者とつながり承認されたいという欲求
③自分のことを肯定的に捉えたいという欲求
なぜ相手にただ情報を与えるだけでは、なかなか説得に成功しないのか
人に決定をさせるのは情報それ自体ではなく、情報が与えられる状況です。現在は、情報過多で刺激的な環境です。忙しい今日において、相手はすべての情報を把握して検討する事はできません。伝えたいメッセージが人間の根源的な欲求に直結するように説得の仕方を少し工夫すれば、他者への影響力と説得力は大きくなります。情報を伝えるとき、状況設定の仕方やメッセージの組み立て方、タイミングや前後関係を少し工夫すれば、相手の受け取り方と反応は劇的に変わります。
影響戦略の土台にすえるべきことは、その人たちにして欲しいことを、その人たちと似ている大勢の人が常にやっていると、わかりやすく、正直に、正確に伝える事です。(社会的証明)
約束を守ってもらうための小さな工夫が大きな効果をもたらす
同僚や取引先の人が気軽に頼み事を引き受けてくれたが、結局はその約束を守ってくれなかったことを経験したことのある人は多いのではないでしょうか。
あなたの頼み事を引き受けてから、それを実行するまでの期間が長いほど、実行される確率は低くなります。これは相手には他の用事や雑事があり、徐々にあなたの頼み事への認識が薄れてしまうためだと考えられます。そのような状況においても、あなたの頼み事が実行される確率を上げる方法があります。それは、「いつ、どこで、どのようにして、実行するのか」を具体的に計画してもらうことが有効です。行動科学の世界では、この具体的な計画のことを「実行意図」と呼びます。
説得の場面において、相手から「イエス」を引き出すのは、ゴールではありません。ゴールは行動してもらうこと、つまり、結果を出すことです。相手が言った通りに行動する可能性を最大化するには、「イエス」と言った後に、いくつかの具体的な質問を行います。頼み事をどのように実行するのか、はっきりとさせておくことが必要です。細かいことにまで口を挟んだり、詰問する必要はありません。質問は、なすべき課題の細かな部分や具体的な側面とほんの少し関係しているだけで充分です。さらに、その具体的な計画が他の人に共有、公表されることで、一貫性の法則が働き、コミットメントが強くなります。更に、周りからのサポートを受けられるメリットも期待できます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20424044/
社会規範の効果的な利用法とメッセージの組み立て方
メッセージの組み立て方は、相手がそのメッセージと関係する社会規範をどのように認識しているかで決まります。例えば、友人が咳をするときには口を手で覆うのが規範だと思っているなら、その規範から外れている人の悪い面を強調するメッセージが最も効果的です。逆に咳をするときには口を覆わなくて良いと考えているなら、咳をするときに口を覆う人の良い面を強調するメッセージの方が効果的です。
どちらのメッセージを伝えることが効果的かを考えるとき、相手がどちらの意見に賛成しているか知る必要があります。さらに、問題となる社会規範を最初に相手に伝え、相手の意見に応じてメッセージを伝えることで説得力が上がります。
社会的規範に同調意見を持つ人には、社会的規範に反した悪い面を強調したメッセージを伝え、社会的規範に同調意見を持たない人には社会的規範を守った場合の良い面を強調したメッセージを伝えると説得力が増します。
https://www.researchgate.net/publication/247746748_An_Introduction_to_Deviance-Regulation_Theory_The_Effect_of_Behavioral_Norms_on_Message_Framing