橋本淳司『瞬時に「話す」「書く」技術』すばる舎、2011年

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万能メモは大切な情報をモレなく記録し、瞬時に整理できる優れもの。2種類あって、どちらも、 

・話のポイントが 1 枚におさまって俯瞰できる 

・見直したときに頭が整理でき、書き込むことができる  

という特長があります。まさに、備忘録を超えたメモといえます。  

単に情報を書きとめるだけでなく、あとから情報を整理したり、自分の考えを書き込むことはできないか。  

試行錯誤のすえ「情報メモ」が誕生しました。「情報メモ」を使いはじめてから、情報も考えも素早くまとめられ、話す、書くスピードと精度が上がりました。

メモを「情報を整理する道具」に進化させるには、受け取った情報を「この情報は必要、この情報は必要でない」「この情報とこの情報は関係している」などと整理する空きスペースが必要です。  

普通はメモをとり終わると紙は文字でいっぱいになっています。新たに何かを書くスペースはありません。そこで、万能メモでは、あとから情報を整理したり、自分の考えを書き込むスペースをあらかじめつくるようにしています。

「話す」「書く」場面で、メモを積極的に活用することで、頭を瞬時に整理できますから、より正確、かつわかりやすく伝達できるようになります。

聞きモレ・伝えモレがゼロになる この「情報メモ」で、報連相、打ち合わせの精度が上がる

ヌケ、モレが出る理由は、情報と情報の関係性がわからないことにあります。  

情報は普通バラバラの状態で頭に入ってきますが、そのまま個別に扱うのはむずかしく、いつのまにかヌケ、モレの原因になります。

情報を正確に受け取り、伝えられるようになるコツ 

◆まずは、箇条書きで材料を集めよう

「情報メモ」の基本的な書き方について説明していきます。 

「大学ノート」を使用する場合(次の次の図参照)、真ん中に線を引き2分割します。  

左側には、打ち合わせで得た情報や自分の考えを書きます。  

次に右側をつかって、情報の関係性を考えたり、自分の考えを書き加えたりして、頭を整理していきます。

「A4サイズの用紙」を使う場合(次図参照)、中央には「箇条書きスペース」をつくります。ここに打ち合わせで得た情報や自分の考えなどを書いていきます。周囲にある箱は、情報を整理するスペースです。  

本書では、このA4フォームの「情報メモ」を例にとって説明していきます。 

「箇条書きスペース」に情報や自分の考えを書いたら、情報同士を線で結びます。

◆箇条書きしたメモを箱に振り分ける  

次に両端の「箱」の活用です。箇条書きの項目を見て、「ほぼ同じ」と思ったものについては同じ箱に入れます。こうすることで情報が整理されていきます。  

このとき情報や考えを全部出してから箱にグループ分けする場合と、あらかじめ集めたい情報や考えを入れる箱を用意してから集める場合があります。  

私の経験では、最初に箱をつくっておいたほうが、ほしい情報や考えが集まりやすいです。必要となる情報項目を想定し、箱をつくっておくと、すぐその場で情報を整理できます。  ただし、ミーティングでは想定外のよい情報が出ることも多いので、「その他」という箱をつくっておくのがミソです。 分類できない情報は、とりあえず「その他」の箱に放り込んでおき、あとで整理すればいいのです。

報連相するときは、「情報メモ」に「結論」「理由」という箱をつくり、必要事項を書き込んでから伝えましょう。 これは口頭でもメールでも同じです。

先ほど紹介した事例で説明します。まずは商談の「結論」を書きとめます。次に商談内容を書き記した「箇条書きスペース」から「理由」をピックアップします。  

実はよい理由、悪い理由ともに、はっきり告げられないことが多いのですが、最初から「理由は何か」と思っていると、相手の言葉の端々から考えていることが読み取れるようになります。

◆「つまりどういうことか?」を自問する  

文章を書いているときでも、人と話をしているときでも、「いま自分は何について書いているのか」「自分たちは何について話しているのか」と考えてみることです。  

一人の自分は夢中になって話し、書いていても、もう一人の自分が「つまりどういうこと?」と問いかけていれば、本題を外すことがありません。

つまりどういうこと?」と自問するクセを身につけると、話をひろげても、最後にはまとめることができます。

メモで頭を整理し、話す、書くことのノウハウ