「一生モノの勉強法」東洋経済新報社
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「一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ」を読んだので紹介いたします。
発売日:2009/4/3
出版社:東洋経済新報社
単行本:222ページ
鎌田 浩毅 (かまた ひろき)
1955年、東京生まれ。
東京大学理学部卒業。通産省を経て97年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。理学博士。
専門は火山学・科学コミュニケーション。
テレビ・ラジオ・雑誌で科学を分かりやすく解説する。火山研究のほか啓発と教育に熱心な「科学の伝道師」。
京大の講義は毎年数百人を集める人気である。
モットーは「面白くて役に立つカッコいい教授」。
はじめに
大人になって勉強するのは、「成功」と言う目的のためだということもできます。…アウトプットを認めてもらえないような勉強は、…大人にとっては「価値」がないのです。もし目的が「成功」であれば、自ずと「戦略」が必要になってきます。
…プロフェッショナルは、勉強した成果を社会に還元しなければなりません。
…知識が豊富だからといって、それだけで満足していると専門バカになってしまいます。
「仕事の核」となる知識の身につけ方はもちろん、教養を磨く勉強や、周囲の人にうまく伝えるためのコミニケーション技術についても触れました。
第1章
面白くてためになる「戦略的」な勉強法とは
…仕事のための勉強には3つの能力を磨くことを意識する必要があります。
①コンテンツ能力…知識の中身を身に付ける力
②ノウハウ能力…仕事のやり方についての具体的なテクニックやハウトゥーに関する力
③ロジカルシンキング能力…材料を集め、企画にするなどの一連の力
第2章
勉強の時間を作り出すテクニック
限りある時間の中で人生が成立している以上、勉強も時間の使い方に大きく規定されます。まずは自分の時間を、A「自由裁量できる時間」と、B「他人に従っている時間」に区別してみましょう。
…時間の使い方としては、できるだけBを減らしてAの領域を増やすことが戦略として重要となります。
…緊急度の高低、重要度の高低を横軸と縦軸に入れて4つの事象で時間を分類する方法です。
…「緊急度が高く、重要度も高い」ものを対象に、時間を優先的に配分するのです。
時間を意識すると、とたんに集中力が増したり、いつもよりスピードアップするという効果がきっとあらわれるはずです。
…あらかじめ締め切りを設定してしまう…。
伊藤忠商事の三輪裕範氏は平日の各1時間プラス土日に各3時間勉強する「年間600時間」方式を勧めています。
第3章
効率的に勉強するための情報整理術
効率的な勉強のためには、勉強道具の使い方や環境作りが大きなポイントとなってきます。本書では、「勉強アイテム」の活用法を中心に、実践的なテクニックを紹介しましょう。
作業スペース…椅子…百科事典…プリンター…デジカメ…文房具…ノート…本棚…
…パソコンは極力アウトプットに使う…
第4章
すべての基本「読む力」をつける方法
本は、人間が忠誠を書き残したものとして、昔も今も最も効率の良い勉強の手段です。読書に関しては、まずは多読が基本…。本は人生でチャンスを掴むための触媒です。触媒をたくさん持つことによって、何かのきっかけが巡ってきたときに、素早く反応ができます。…社会を知るアンテナの数が増えるからです。
本の最大の特徴は、投資する額に対して得られる利益がはるかに大きいと言う点ではないでしょうか。…本は見つけたときに買うのが原則です。
…常に知的好奇心を失わないためにも、書店に行く習慣を持つことが大切です。
書店で積極的に様々な分野の本を覗いてみる事はとても大切です。
(…大型書店…街の小さな本屋さん…マニアックな書店…古書店…図書館…使い分けのメリットが書かれています。)
入門書を3冊購入する… 1冊位は新書を混ぜる。
新書には、歴史的に啓発書として果たしてきた役割があります。専門家が最先端の知見を分かりやすく伝える努力を試みてきたのです。
…ビジネス書等は、最初から最後まで読み通す必要はないということです。
目的に応じたところを探して…モチベーションが高い内容から読み出す…。いちばん先に目次に目を通せば、優先して読むべき部分を特定できるため時間短縮に効果的です。これは「インデックス法」と言うテクニックです。
本を読んでいて、理解できない箇所にぶつかることがあります。…飛ばし読み…。「棚上げ法」…。
棚上げして読み進めて読み進んでも、本というのは最後まで読めば大体の内容をつかめるようにできているのです。…参考書のように線をひいたり書き込むことで、初めて知識が自分のものになるのです。
第5章
理系的試験突破の技術
…「試験勉強」…。…「試験をなぜ受けるのか」…受験の目的を明確にした上で、その後の試験勉強は、徹底的に効率主義で取り組むことが肝心です。
…試験に関する2つの事実…。
1つは試験という具体的な目標を介することで合理的な勉強ができること、もう一つは、合理的な勉強をすることが試験合格の近道であることです。受ける試験を決定した上で、無理なく試験勉強を続けるには、気力や努力でなく「システムに任せる」姿勢が大切です。
まずは、受験の「期日」と「勉強すべき内容」、そして「持ち時間」をそれぞれきちんと紙に書き出してください。
取り組むべき問題集や参考書が決まっている場合、締切日(資格試験なら受験日)までの持ち時間をもとに割り算するのが順当な方法です。
…計画にあたっては…。2割の余裕を”遊び”として確保…「バッファー法」…。
試験勉強は相手の意図を探ることから始める
…受けようとする視点が要求する位とは何か、…。
…効率的な試験勉強をするためには、「1時間法」を使うのが基本です。…1日のうち本当に集中して頭を使うことができるのは、せいぜい1時間程度だからです。
…「45分法」… 60分1単位を、 45分と15分に分けます。…最初の45分を得意な問題に割り当て、…最後の15分で不得意な問題に取り組む…。
あるいは、15分ずつ次から次えと勉強する中身を変えていくのも…効果的です。
…すきま時間を活用…。
…情報を効率よく記憶するためには、どうすればいいのでしょうか。
まずはテキストを通読して、自分がまだ「覚えてないこと」をぐっと絞り込みます。
その上で新しい情報を記憶する際には、まず黙読しながらテキストの内容を頭に定着させます。
次に、テキストを声に出して読みます。…自分が出した声を聞きながら耳で覚えるのが、生理学的にも最も効果的な記憶法なのです。そして、3番目に、ペンを持って手書きをします。絶対に覚えたい固有名詞などは、何度でも手書きを繰り返すのです。
…試験の時間配分ですが、鉄則は「解ける問題から解く」です。
第6章
人から上手に教わると学びが加速する
優れた人から教えてもらうことだけが重要なのではなく、その人から「直接教えてもらうこと」にこそ価値がある…。…大人の勉強法では、良い師と出会うというのも戦略の1つです。
…人から学ぶにあたって、具体的なロールモデルを持ってはいかがでしょうか。
ロールモデルとは、「こんな人になりたい」と思うようなモデルのことです。
おわりに
哲学者のショーペンハウエルは「読書とは他人にものを考えてもらうことである」と警告しています。本を読んだだけで満足するのではなく、読んだ内容を実行して自分のものにすることが大切ということでしょう。
私も、本書にて学んだことを活かして、生活の質の改善と向上をしていきたいと思います。
皆さまも、参考になる箇所があれば、生活習慣に組み込んでみてください。
本書には、実用的な勉強法が実践できるように、書かれています。
その他、鎌田 浩毅さんの著書に
『ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)』
『成功術 時間の戦略 (文春新書 (443))』
『ラクして成果が上がる理系的仕事術 (PHP新書)』
『世界がわかる理系の名著 (文春新書)』
『マグマの地球科学―火山の下で何が起きているか (中公新書)』
『火山噴火―予知と減災を考える (岩波新書)』
『富士山噴火―ハザードマップで読み解く「Xデー」 (ブルーバックス)』
『地球は火山がつくった―地球科学入門 (岩波ジュニア新書 (467))』
『地学のツボ―地球と宇宙の不思議をさぐる (ちくまプリマー新書)』
『火山はすごい (PHP文庫)』
などがあります。
ご興味のある方は、是非、読んでみてください。