仕事の仕方がガラリと変わる読書術 知の法則シリーズ (学研M文庫)

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by 伊吹 卓

本当の読書は「自分の悩みを解決するため」なのである。  

私の読書を振り返ってみると、一貫してこのような読み方をしていたことに気づく。  

不思議なもので、人生には「悩みの波」が、後から後からやってくる。そして新しい悩みに出会うたびに、私は本屋へ走った。  

新しい悩みをかかえて本屋へ行くと、不思議に「欲しい本」が見えてくる。

「自分に役立つ本」を見つける秘訣──5カ条  

第1条──自分の悩みをしっかり自覚しよう  

第2条──悩みのイメージをつかんだら本屋へ行って本屋の中をうろつき回れ  

第3条──「これだ!」と思った本を買え  

第4条──買って帰って読んでみたら「ダメな本だった」としてもあきらめるな!  

第5条──また本屋へ行って、本を探せ。そのうちに必ず「ありがたい本」に出会うことになる

「乱読」の効果──4カ条  

第1条──自分の性格(個性)に気づく  

第2条──自分が生きていく方向が見えてくる  

第3条──なんとなく「生きていく」ということに自信がわいてくる  

第4条──気づかないうちに判断力が育ってくる

どのような会社でも「売れれば成功」である。ということは、偉大な経営者たちの本を読めば「なぜ、売れたのか!」のカギが見つかるに違いないと気づいたからである。  

そういう本を読んでいたら、どういうわけか、共感と感動の連続であった。  

型式的には〝乱読的〟であるが、「売れるかどうか」という問題意識を持ったうえでの乱読であった。

「ホレ読み」の効用──5カ条  

第1条──「自分探し」ができる  

第2条──「自己再発見」ができる(自分の個性に気づき自覚するようになる)  

第3条──「自分が生きる方向」が明確になる  

第4条──「人間のすばらしさ」に気づく  

第5条──「ロマンの火」が大きくなる

感じた  思った  信じた  そうなった  

(『心療内科』池見酉次郎 中公新書)

「生きざま」とは、どのように生きてきたか、どのように行動してきたか──ということである。  

人間は、行動してこそ何かを感じるものである。そして行動をすると「試行錯誤」の連続になる。  

試行錯誤を具体的に書くと、つぎのようになる。  

「よい」と思ってやってみた

うまくいかなかった

(なぜだろう?)と考えた(反省した)

(そうか、こういうやり方ではいけないのか!)と気づく

(それでは、どうすればよいかの?)と考える

(これでよいのだ!)と信じる

信じたとおりに成功する

これが「試行錯誤」の実体であり、プロセスである。そして、このプロセスを「ヨガの言葉」は、きわめて単純明解に、いい切っていたのである。  

人生は、このような試行錯誤の連続である。

もっとも、この試行錯誤の中で挫折する人がいる。それは「気が弱い人」である。失敗を恐れて、やる気を失うからである。

「信じ読み」の効用──5カ条

第1条──迷いがまったくなくなる  

第2条──自信が出てくる  

第3条──集中力がケタ違いに高まる  

第4条──判断力が急成長する  

第5条──成功の可能性が高まる

「読書」というものは、読んだ本に共感できた時「本の中にある知恵」が「自分の知恵」になるのである。共感できない所を無理して読んでも、忘れるだけなのだ。

「反復読み」の効用──3カ条

第1条──数十年ぶりに読み直すと新発見が続出する  

第2条──「ホレた著者」の偉大さに改めて気づく  

第3条──自分の心が「新しい成長」を始める

「長寿読み」の効用──6カ条  

第1条──「長寿読み」をすると、たくさんの知恵がつく  

第2条──運動するから健康がつづく  

第3条──その知恵を話題にできる  

第4条──友と会った時、知恵のギブ・アンド・テークができる  

第5条──友人が増える  

第6条──いつまでもボケない

このように気づいたら「読書」すると、心がどのように成長するのか──ということのイメージが見えてきた。  

それを箇条書きすると、つぎのようになる。  

1 読書して感動すると、その感動が記憶に残る  

2 読書するたびにその感動が増えていく  

3 読書を数十年もつづけていると、その感動記憶が、膨大なものになる  

4 その結果、心が大きくなり、広くなる  

5 それに比例して、人の心が読めるようになる。対応力が高まる  

6 それは、他人が感じたこと、気づいたことを態度や表情から察知するということである  

7 それは、過去に体験したことのある感動記憶と、反射的にスリ合わせているのである。つまり、再認現象なのである

「精神年齢を高めるための読書術」  

1 「私」にとって「バイブル」と思える本を見つけること  

2 挫折し、悩むたびに「バイブル本」をくり返し読むこと  

このようにしていると「偉大な人の知恵」を限りなく、自分の血や肉にすることができる。

「人育ての3大法則」  

第1法則──人は教えるとバカになる  

第2法則──「教えない教え方」を使え  

・着眼法──ヒット商品を見て学べ  

・苦情法──苦情を聞いて素直に反省し、「売れない商品」を見てヒントをつかめ  

第3法則──人は皆、天才である  

この「3大法則」は「偉大な経営者の本」を読みまくっているうちに気づいたイメージを、言葉として表現しただけである。

● 20 代・人生の方向をつかむヒントになる本 

『若さに贈る』  

松下幸之助 講談社現代新書 

青春時代を、いかに充実して生きるか/信念、希望、勇気をもって生きるのは、どうしたらよいのか/松下さんが、若者への限りない共感をこめて語る人生の知恵の数々。 

『素直な心になるために』  

松下幸之助 PHP文庫 

若いころは、ともすると意地を張って人に嫌われるものである/平凡のようではあるが「素直な心」になることが、幸せな人生を送るためのカギだ──と説く超ロングセラー。

『人は見た目が9割』  

竹内一郎 新潮新書 

顔の表情 55%/声の質 38%/話す内容は、わずか7%──コミュニケーション心理を理解するには絶好の本/著者は文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作、講談社漫画賞受賞など多才。 

● 30 代・仕事の悩みを乗り越えるヒントになる本 

『仕事術』  

森清 岩波新書 

仕事術を4つに分けている/手の技術──技を盗むのは見習うこと/縁の技術──人と出会うこと/知の技術──情報の収集、整理、加工──仕事人のパスポートになる本。

『会議力』  

奥出直人 平凡社新書 

ダメな会議、よい会議/よい会議は同じ情報を共有するために行う(コミュニケーション)/会議の結果、同じアイデアを生み出せたら最高──それをコラボレーションという。

『リーダーシップの心理学』  

国分康孝 講談社現代新書 

リーダーの仕事は部下に目標を与えること/部下の気持ちをつかむこと/聞き上手なリーダーになれ/リーダーシップの本質は親心/リーダーに必要な性格など。 

● 40 代・判断力を育てるための本

『歴史人物に学ぶ 男の「行き方」 男の「磨き方」』  

童門冬二 PHP文庫 

人を動かすコツ/組織を動かすコツ/逆境を乗り越えるコツが、 20 人の歴史人物を通して、じっくりと味わえる

『生きがいの本質』  

飯田史彦 PHP文庫 

生きがいとは何だろうか/人間関係で悩むということ/失恋/運命の出会/結婚、浮気、離婚/人間関係で悩むということ/どこまで許すべきか/自分を許すという

● 50 代・後輩を育てるために読み直したい本 

『頭がいい人、悪い人の話し方』  

樋口裕一 PHP新書 

第一章 あなたの周りのバカ上司──を精読されたい/この章の 12 項目を読むと、なぜ部下たちにやる気にならないのかに必ず気づけるだろう/読まない人は損をする