言語化で1番大切なのは「何」を明確にすること

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何を伝えれば伝わるのかを、まず自分の中で明確にする。どう表現するかを考えるのではなく、何を表現するかを考える。それが言語化です。言語化とは伝え方の問題ではありません。自分が伝えたいものは何か?何を伝えたら相手に響くのか、その伝える内容そのものを定めることが言語化です。

言語化の最終ゴールは、自分が頭の中で描いているものと同じものを描けるような言葉にすることです。

言語化するためのPIDA(ピーダ)の4法則

1.目的の整理(Purpose):そもそも自分は何のために言語化したいのかを考える

2.項目を選定する(Item):何を伝えれば、明確に言語化できるのかを考える

3.その項目を定義する(Define):その項目はどういう意味なのかを定義する

4.その定義が伝わる表現に当てはめる(Apply):意図した定義が伝わるフレーズを使う

自社のブランディングをしたいときのケース

1.何のためにブランディングしたいのか?売り上げを上げるため、商品の単価を上げるため、価格競争に巻き込まれないため、などが考えられます。

2.相手に何を伝えれば、目的のブランディングに近づいていくかを考える。自社商品が価格競争に巻き込まれず高単価にする、だった場合。そのために何を相手に伝えれば良いのかを考えます。自社商品の品質の高さを表現する、自社が信頼できる会社であることを語る、すごい企業とも取引があることを語る、他社商品との差別化を提示する、などです。

3.自社商品の品質の高さを表現するとしても、「品質とは何か?」が定義されていなければ言葉にできません。品質とは壊れにくさ、効果が短時間で出ること、手間をかけて作ったなどでしょうか。商品によって品質は違う意味になります。自社商品の場合、それがどんな意味になるかは自分で定義しなければいけません。

4.品質=壊れにくさという定義をした場合、うちの商品は壊れにくいです!と表現するだけでは、相手は信じてくれません。例えば10年たっても壊れない、1年の故障率がたったの0.001%と具体的に表現する必要があります。しかし、理解しやすいかどうかは相手次第です。自分がいいと思う表現でも相手には伝わりにくい場合があります。自流の表現をするより、伝わりやすいフレーズに当てはめた方がいいです。

言語化する力とは何か

言語化とは、そもそも言えていない要素を言葉にすることです。相手にポジティブに捉えてもらうことが大事なのではなく、まず自分が何を表現したいのか、自分が持っている要素のどの部分を言葉にしたいかを考えることが重要です。

自分の頭の中を言葉にするためには、言葉にするための考え方を身に付けなければいけない。言語化で表現すべきは、自然に出てくるわけではありません。自分でそこに目を向けなければいけません。自社商品について自分の感じていることを言語化したいと考えても、その商品を漠然と見ているだけでは何もわかりません。理解してもらいたい要素に意図的に焦点を当て、意図的に言葉にすることが求められます。

今回はこういうことを相手に感じてもらいたい。となれば、相手に伝えるべき事は、〇〇だなと自分の視点を定めなければいけないわけです。

ビジネスでは言語化すべき項目が決まっている

ビジネスではなぜそれを、なぜ今、なぜ私から買うべきかが示されていれば良い。ビジネスで言語化しなければいけないものを言語化して表現すること、これだけです。これさえ納得度を高く伝えることができれば、ビジネスはうまくいき、顧客は買ってくれます。

ビジネスの言語化に必要な5段階項目

①価値を言語化する(value)

②他社との差別化を言語化する(differentiation)

③自社の信頼性を言語化する(reliability)

④価値が提供される理屈を言語化する(process)

⑤相手にとってもらいたい行動を言語化する(action)

5つではなく5段階としているには理由があります。この順番で言語化すべきだからです。まず考えなければいけないのは、相手にどんな価値を提供できるかです。では、価値とは何か?どうしたら価値を提供したことになるのでしょうか?

「価値は変化である」ということです。つまり、商品やサービスを通じて相手に変化を提供できれば、その商品やサービスは価値を持つということです。顧客が望んでいる変化を与えられる場合、それを言葉にすれば価値を伝えられることになります。変化には必ずビフォアとアフターの両方の明記が必要です。この両方を語らなければ変化にはなりません。理由は誰を対象にした商品サービスかわからないからです。

また、価値としては「テンションが上がるもの」も考えられます。ライブやテーマパーク、リラックスする温泉旅館など充実感も価値を持ちます。そういった場合は変化を伝えるよりも、商品を買った後のイメージが膨らみ、妄想を抱けるようなことを語ることが大切です。

3つ目の価値が、こだわりです。相手が異様にこだわりを持っているものは、その異様さを体験したいと感じ、価値を感じます。

次に差別化です。顧客からしてみれば、価値がある商品は他にもあります。なぜ他社ではなく、あなたの商品を選ぶべきなのか、言語化する必要があります。

差別化するための言語化フォーマット

言葉にする要素は3つです。

1.相手の目的(あなたは〇〇したいですよね?)

2.その目的が他社商品で手に入れられない理由(それは他社商品では手に入りません。なぜなら〇〇だからです。)

3.その目的を自社商品で叶えられる理由(うちの商品であれば実現できます。なぜなら、〇〇だからです。)

顧客の願望は提供者が言葉にしてあげなければいけません。そしてそれをやりたいんだったら、他社商品では難しいです。うちの商品であればそれができますよと伝えてあげれば、顧客はあなたの商品を差別化して認識するようになります。

そして、自社の信頼性を伝えます。

信頼性を表現したいときの言語化フォーマット

信頼性を相手にわかってもらうために、目を向けるべき要素は2つ。

1.これまでの自社の実績、成功事例

2.自分がその商品を世の中に広めたい理由

自社のこれまでの実績や業績、商品を導入してくれたクライアントの数を伝えたり、それらの顧客に成果が出たと言う事例を例えとともに伝えることで、お客さんは安心します。

そして、自分自身の思いを言葉にすることで、あなたの信頼性は上がっていきます。

さらに、その商品が実際にどのように機能して、どのように価値を発揮するのかが、相手に伝わらなければ、相手は納得してくれません。

価値提供プロセスを言語化する

〇〇を取り入れることで、どのような流れで変化が生まれていくのかを示す。価値を言語化するだけでは不十分です。その価値がどのように実現されるかも言語化する必要があります。

そして最後に相手に望む行動を伝えます。多くのアドバイスが、行動ではなくゴールやスローガンを示しています。

例えば、「健康的な食生活にしましょう」というアドバイス。

意図はわかるし、方向性は理解できます。3食しっかりと食べることなのか、毎日水を1.5リットル以上飲むことなのか、お酒を毎日1合以下に抑えることなのか、野菜を毎日の必要摂取量350g以上食べることなのか、具体的にはよくわかりません。せっかくのアドバイスであっても、相手が実行できなければ、価値が低下してしまいます。

具体的に表現をするMORSの法則

行動科学では、曖昧な言葉をやめ、具体的な言葉で指示を出すと語られています。そして具体的にするためには、指示を「行動」で伝えることが有効としています。概念やイメージではなく、その人が取る「行動」で伝えれば、誤解なく伝わるということです。

計測できる(Measurable):その行為は数えられる/数値化できているか

観察できる(Observable):その行為は誰が見てもどんな行動をしているかわかるか

信頼できる(Reliable):その行為は誰が見ても同じ行動だと思えるか

明確になっている(Specific):誰が見ても何をどうするか明確になっているか

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