目の疲れを取る方法:疲れ目の改善と視力低下を防ぐ

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目にとって刺激の強いスマートフォンやパソコンの普及、深夜まで目を酷使するライフスタイルにより疲れ目や視力の低下が顕著になってきています。また、過剰なストレスや空気の汚れなど、目にとって良くない条件が日常生活の中に増えています。

そのような中で、目の疲れを取る方法や視力低下を防ぐ方法を知ることにより、日ごろからのケアをすることが大切です。

疲れ目の症状

1,見え方の異常

長い時間細かい作業をし続けた後に物がかすんで見えたり、近いところから遠いところに目を移したときに、しばらく焦点が合わずにぼやけてしまうことがあります。両眼で見るとものが2重になってしまう「複視」になることもあります。

2,痛み

目の奥が重苦しかったり、鈍い痛みを感じます。疲れ方が激しいときには、ズキズキとした痛みを感じることがあります。

3,光の感じ方の異常

疲れが蓄積すると普段と同じ照明が、非常に明るく感じられることがあります。太陽光がギラギラと眩しく感じる人もいます。

4,かゆみ

かゆみは、汚れが目の表面について目を刺激したり、傷つくことによって起こります。アレルギーを引き起こす物質に刺激されて炎症を起こした時も、かゆみがひどくなります。

5,目の乾き(ドライアイ)

長時間、細かい文字などを凝視したときに、目の渇きを感じることがあります。作業中に極端に瞬きの回数が減って、目の表面が渇きやすくなることが原因です。

目の疲労のケア

目には、全身の疲れや精神的ストレスが様々な症状となって現れます。全身と目、心と目を結びつけて、改善策を考えることが大切です。つまり、疲れ目の解消法よりも、心身を十分に休めることが目の疲労のケアには最善策となります。

最も効果的な方法は、睡眠をしっかり取ることです。8時間睡眠に近づくような生活リズムを身に付けることから始めましょう。私たちの体に備わっている活動と疲労回復のリズムに合った量が、7〜8時間となります。

血行をよくすることで疲れはとれる

目に限らず、体のあらゆる部分が疲れるときには、血行が悪くなっています。疲れを感じたら、まず滞っている血行をスムーズにすることを考えましょう。血行をスムーズにすること=体を動かすことと考えてください。体を動かすと筋肉が伸びたり縮んだりして血管を押し、ポンプと同じ働きをします。

温めたり冷やしたりして血行をよくする

気になる部分を温めたり冷やしたりするのは、家庭や職場で簡単にできる血行促進法です。疲れやすい部分を温めたり冷やしたりすることによって、血管が広がったり縮んだりして、血液が流れやすくなります。これは、目の疲れを取るのにも効果的な方法です。

目の周辺を温める

目を使い続けたときに、目に熱いおしぼりなどを当ててみましょう。そのまま目の周辺の緊張が解けていくのを感じながら、数分間この状態を保ちます。

目の周辺を冷やす

たいていの疲れ目には温める方法が効果的ですが、冷やして爽快感を取り戻すのも気持ちのよいものです。熱感を伴う疲れ目に効果的な方法です。

目に痛みを感じるときには、冷やす方法にしましょう。何らかの炎症が原因で痛みが起きている可能性もあるので、温めるのは禁物です。

首・肩・腕を温める

デスクワークの疲れには、首・肩・腕の疲れを解消することでも軽減できます。熱いおしぼりなどを気になる部分にじっくり当てて筋肉をほぐしましょう。

足を温める

全身の疲れは、足元の血行不良が原因となっていることが多いので、ふくらはぎを温めると効果的です。冷えは筋肉を収縮させ、血行を阻害します。

目の疲れ解消法

仕事の合間に目を休ませることも、疲れ目対策には欠かせません。50分間作業をしたら10分間、目を休ませるのが理想です。10分は、ものを見続けて緊張した目の筋肉が元に戻るのに必要な時間です。

目を休ませる時は、やや遠くをぼんやりと眺めることや瞬きをすると効果的です。近くを見る作業で疲れた目に必要なのは、筋肉の緊張を解くことです。視線を数メートル先に抜け、ただぼんやりと見るだけです。無理に遠くの何かを見ようとしないことがポイントです。

疲れた目をリフレッシュさせるには、目の潤いを取り戻すことも大切です。瞬きを意識的にすることを習慣にしてみましょう。

なぜ日本人には近視が多いのか?

近くのものばかり見ていると、緊張した毛様体筋が次第に戻りにくくなります。そうすると水晶体も厚いままなので、遠くがよく見えません。いわゆる「仮性近視」がこの段階です。この状態を放置しておくと、やがて慢性化して本格的な近視になってしまいます。これは環境が近視をつくる典型的なケースの1つです。

目に有効なビタミンはA・B群とC

体に必要なビタミンは全部で13種類ありますが、目に有効なビタミンは、A・B群とCです。

ビタミンA

目の粘膜を保護する働きや角膜・網膜細胞を健康に保つ働きがあります。ビタミンAには、レチノールとカロチンの2種類があります。動物性食品に含まれるレチノールは、摂りすぎるとビタミン過剰症になる恐れがあるので注意が必要です。野菜に多く含まれるカロチンは、必要な分だけ体内でビタミンAに変わるので、ビタミン過剰症になる心配はないとされています。

【ビタミンAを含む食品】

レチノール…レバー、うなぎ、牛乳など

カロチン…モロヘイヤ、にんじん、ほうれん草など

ビタミンB1

神経の伝達作用に関与するビタミンB1は不足すると、目が疲れたりイライラしたりします。水溶性のビタミンなので、摂りすぎても心配ありません。

【ビタミンB1を多く含む食品】

玄米、うなぎ、豚肉など

ビタミンC

体の細胞や血管などに作用するコラーゲンの合成に欠かせないビタミンです。熱に弱いため調理法を工夫しましょう。

【ビタミンCを多く含む食品】

キウイフルーツ、サツマイモ、ブロッコリーなど

市販の点眼薬の正しい使い方

目薬のラベルにはいろいろなことが書かれていますが、次のポイントを参考に選ぶとよいでしょう。

目の疲労感と渇きが気になるときには、ビタミンB2 ・ B 6 ・ B12が含まれているものが効果的です。

目の霞や充血が、激しいときには、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、メチル硫酸ネオスチグミンが添加されているものが良いとされています。これは血管収縮剤の働きで広がった血管を目立たなくさせることが目的です。なので、目が酸素不足になっているときにこれを使うと、かえって酸素不足を進めてしまいます。

どんな症状の場合でも、できるだけ防腐剤の添加されていない人工涙液タイプを選ぶようにしましょう。防腐剤は開封後に雑菌が繁殖しないようにするためのもので、効き目には関係ありません。防腐剤の入った目薬を頻繁に使うと、逆に角膜を傷めてしまうことがあります。

参考文献:

石川弘『疲れ目の改善、視力低下をふせぐ簡単な方法』PHP研究所、2004年、158頁