健康維持と血液の関係

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私たちが健康を保つには、様々な努力が必要です。「睡眠」を十分に取ることや適度な「運動」をすること、バランスの良い「食事」を摂ること、ストレスにあらわれるような「精神」の問題もあります。

血液をきれいに保つ事は、普段から少し努力をすることで可能で、それが健康維持や長寿への基本であり、カギであるといえます。

日本人の3大死因は汚れた血液が原因

日本人の死亡原因は1位がガンで、脳卒中、心臓病(心筋梗塞など)と続きます。2位の脳卒中と3位の心臓病を足すと、がんを抜いて、死亡原因のトップになります。この2つの病気は、原因となる病態が動脈硬化です。いずれも、血管の老化である動脈硬化を背景にして起こる循環器系の病気です。

動脈硬化は、血管の内壁に脂質などがたまって、血管の内腔が狭くなり、血管が柔軟性を失って硬く、もろくて破れやすくなった状態です。血管の内壁にこびりついた脂質は主にコレステロールです。そのため血液はドロドロで、血管の分かれ目などで滞っています。その結果、最終的には、血管の一部分が詰まり、脳梗塞や心筋梗塞が発症するのです。

血管は酸素や栄養を運ぶ重要な器官です。血液の循環が悪くなったり、血液が汚れたりすると、血管の壁には老廃物が溜まります。心臓や脳へ酸素や栄養素をスムーズに運ぶことができず、血液が滞ったり固まったりします。その結果、血管に血栓ができたり、血管が収縮して脳や心臓の血管を塞いでしまいます。それが脳の血管に起きると脳梗塞や脳動脈硬化症を発症します。血栓がたくさんできると、脳の血流が阻害されるため、老人性痴呆症の原因になると考えられています。

心臓の血管では狭心症や心筋梗塞に、頸部の血管では頸動脈狭窄症に、腹部の動脈では腹部大動脈瘤に、下肢動脈では閉塞性動脈硬化症などの病気が発生します。血栓は遠くの血管に飛び、例えば足にできた血栓が肺に飛び、肺塞栓症を引き起こすなどのケースもあります。

これらの病気は、かつては日本人に少なく、欧米人に多く見られました。それが昭和40年代から日本人に増え続けています。こうした変化の背景には食生活の変化があると考えられています。昭和40年代を境に穀類、魚、野菜、芋類中心の日本の伝統型食事から、肉をはじめとする動物性食品中心の欧米型食事に変わってきた。日本は経済的に豊かになり、食事も贅沢になってきた。肥満の人が増えてきたのもその頃からです。

中性脂肪やコレステロール値が上がり、動脈硬化の人が増え、脳梗塞や心筋梗塞で命を落とす人たちが目立ってきた。社会問題化しつつある、老人性痴呆症もここに起因します。微小の脳梗塞は30代から始まっていることがわかってきました。本人には自覚症状のない軽度の脳梗塞は”無症候性脳梗塞”と診断され、将来の脳梗塞や老人性痴呆のリスクファクターとして注目を集めています。

脳梗塞や心筋梗塞は、健康を害するといわれてきた「汚れた血液」によって引き起こされる典型的な病気である。血液をきれいに保つ事は、普段から少し努力することで可能で、それが健康維持、長寿への基本であり、鍵である。

血液をきれいに保つということは、日々の生活の中で積極的に自分で工夫をして行う性質のものです。きれいな血液とは、どういうものか。

血液をきれいに保つための具体的な方法

「血液がきれい、汚い」ということが、動脈硬化やそれを背景に起きる心筋梗塞、脳梗塞などの病気の発症と深い関わりがある。コレステロールや高脂血症、動脈硬化などは、血液を汚す条件といえる。

「血液がきれい、汚い」とは、医学的にどういうことなのか。

血液検査では、血液中の様々な成分の量を知ることができ、健康を判断する手段の1つとして利用されています。血液中の赤血球などの成分の量は大体決まっていて、異常に多かったり少なかったりするのは、体に何らかの異常が起きているためです。

動脈硬化が進んだ血管の壁には、コレステロールや中性脂肪などの脂質がたくさん付着。私たちの体は、特定の成分が過剰にあると、それらは血液中に溜まってきます。コレステロールや中性脂肪、尿酸、ブドウ糖、ビリルビンなどは血液中に一定の量が存在します。それらの物質が体内に過剰にあると、血液中の量も増えてきます。汚れた血液は、脳梗塞や心筋梗塞ばかりでなく、老化、がんや女性特有の病気を始め、ありとあらゆる病気の発症に関わりがあります。

現代の生活は昔に比べ血液を汚す条件や原因が満ちています。

赤血球はその形態に異常が現れることがあります。

ストレスが血管や血液に悪い影響及ぼすことが、西洋医学の世界でわかってきました。ストレスが血を汚す

夏、熱帯夜が続くと、暑さのために眠れず、睡眠不足になって、それが引き金で夏バテを起こす事は珍しくありません。血液というのは、熱や寒さに対して絶えず変化し、体温を一定に保とうとしている。冬、寒さにさらされた時、鳥肌が立つことがあります。この時、末梢の血管は収縮して、毛穴の汗腺の穴も塞がります。体内の温度が逃げるのを防ぎ、体温の低下を防いでいます。この時、心臓は活発に動き、腕や足の末端の血液を吸い上げ、脳や体内の血流を良くし、体温を保とうとしているのです。逆に、夏などの気温が高いときには、末梢の血管は拡張し、皮膚表面の血流を良くし、皮膚の毛穴を開き、余分な熱を汗として発散して、体温の上昇を防ごうとします。

急な寒さにさらされると、血管が不用意に収縮するために、心臓血管系に負担がかかって、脳や心臓にトラブルを起こしかねません。高齢者で高血圧や動脈硬化のある人が、暖かい部屋から急に寒いトイレや風呂場に行って、脳卒中や心筋梗塞を起こすことがあります。これは、温度の変化に血液循環がとっさに対応できないからです。

夏、冷房の効いた部屋から炎天下の猛暑の中に出た時も、血液分布が状況に対応できず、脳卒中や心筋梗塞を起こす危険性があります。

杉の花粉が主な原因の花粉症は、花粉が多く、飛散する。郊外よりも、都心の方が発症する率が高い。排気ガスに含まれる成分と、花粉のタンパク質が結びつくと、これが免疫機能に左右することがわかっています。

心臓が血液を送り出す時、その動きを助けてくれるのは足の筋肉です。血液は静脈を通って心臓へ戻りますが、足を動かすことで、筋肉は動き、血液循環を促すのです。そのため、血液はスムーズに心臓に戻ることができます。これが、足は第二の心臓と呼ばれるゆえんでもあります。運動不足になると、肺の換気機能が衰え、酸素の摂取量も減少して、肺機能が低下し、心臓が血液を送り出す働きも弱くなります。運動不足は血液循環を悪くし、ひいては、血液を汚す原因になります。

ストレスは血液にどう反応するか

人は緊張すると、体内では交感神経や下垂体副腎皮質系のホルモンが分泌され、血圧が上昇し、同時にブドウ糖やコレステロール、脂肪酸などを増加させます。ブドウ糖はエネルギー源の基本ですし、コレステロールは血液中に含まれる脂肪分で、副腎皮質ホルモンや性ホルモンの原料になるなど、人体には欠かせない役割を持つものです。脂肪酸は、普段は中性脂肪として皮下脂肪に蓄えられていますが、必要が生じたときには、エネルギー源として、ブドウ糖に変えられます。ストレスなどの外部からの攻撃を受けた緊急時には、これらを増加させます。緊張時には必要があって増加するブドウ糖やコレステロール、脂肪酸ですが、その時々で燃焼させ消費するべきものです。あまりにもストレスを受けすぎると、多量に生じたこれらの物質を燃焼しきれずに、コレステロールや脂肪酸を血液中に余分に貯める結果になります。過剰なストレスは血を固まりやすくすると言う報告もあります。

1957年フリードマンらは、ストレスが血中コレステロール値や血液凝固にどう影響を与えるかについて会計・経理担当者を対象に調べた。血中コレステロール値は、超多忙な時期に高くなり、あまり忙しくない時期には低い数値を示した。血液の凝固についても、多忙な時期には凝固は著しく亢進しており、忙しくない時期には平常通りの状態であった。ストレスが血中コレステロール値を上昇させ、血液凝固を固まりやすくする。

カロリー摂取過多と肥満は、血中のコレステロールや中性脂肪などの脂質を増やして動脈硬化の原因になります。血圧も上げ動脈硬化の引き金になります。また、栄養の取りすぎや肥満が引き起こす病気には、糖尿病や痛風がありますが、これらの病気も血液を汚します。

外食する機会が多いことも食の乱れの原因です。季節に関係なく、冷たいビールや炭酸飲料を飲む習慣、動物性食品に偏る傾向、加工食品やインスタント食品の氾濫も良くありません。加工食品は、ミネラルなどの微量元素の不足をきたします。

血液は「血球」と呼ばれる小さい粒の有形成分と、栄養素や電解質を含んだ「血漿」と呼ばれる液体成分からなっています。その割合は、血球が約4割で、残りの約6割が血漿となります。血液は主に骨髄でつくられます。作られた血液は、骨髄では赤血球とリンパ球以外の白血球、血小板がつくられ、リンパ球だけは主にリンパ節や脾臓でつくられます。

血液の役割

赤血球:ガス交換、体の末端に酸素を運び、各組織からは二酸化炭素を持ち帰る。

血漿:栄養素の運搬、体の各細胞に栄養素を運び、新陳代謝でできた老廃物を持ち帰り排泄させる。

白血球:有害物質の防御、外部から侵入した細菌やウィルスなどを攻撃し、体を守るという免疫作用を持つ

血小板:止血作用、血管が破れたり切れたりしたときに血液は凝固して血栓を作り、出血を止める

血漿:ホルモンなどの運搬、体の細胞や内臓の活動を促すホルモンやビタミンなどを運ぶ。また体温の調整、主に体の中心部で発生する熱を、全身をめぐる血管で拡散し、体温を調整する。

血液のサラサラ度を判定するには

血液のサラサラ度を知る指標はいくつかあり、血液検査でわかります。代表的なものに、赤血球変形能があります。赤血球のしなやかさや形を変える能力のことです。赤血球変形脳が良いと、血液は流れやすく血栓ができにくいと考えられています。また、フィブリノーゲンも同様で、この数値が少ないと、それだけ血液が固まりにくいと考えられています。

アメリカのテキサス大学保健科学センター内科のデビット・シャーマン教授は「フィブリノーゲンは微小血管内の血液粘度の主要な決定因子で、フィブリノーゲン値が上昇すると、血管内で沈殿形成が起こり、脳梗塞発症の危険性が増す」と言っています。

老化とは、血液の面からいうと、血の巡りが悪くなることです。血液をきれいに保つ事は、予防的治療法であり、高齢化社会を健康に生き抜くために必要な行為と考えられます。

血の流れを促すものにヨード剤があります。がん治療を目的としたヨード剤は、甲状腺機能亢進症の人にガンが少ないことに着目し、開発したものです。甲状腺機能亢進症の人は治療薬として甲状腺粉末を服用しますが、この薬はヨードとタンパク質が主成分です。このことから、ヨードを服用していると、がんになりにくいという仮説を立てて、ヨード剤が開発されました。

主に昆布やわかめなどの海藻に含まれているヨードは、血液をきれいにする作用に優れています。昔から、昆布やわかめをよく食べる人は、歳をとっても髪が白くならないといわれています。それは、海藻には血液循環を良くする作用があるからに他なりません。

血液の状態を悪くする原因

①動脈硬化

②高血圧

③血液中のコレステロールや脂肪酸などの脂質を始めとする老廃物などの過多

④血液の粘度が増し、固まりやすい状態にある

⑤全身の血液循環の不良

これらの原因は、血液の巡りをよくすることで改善できる可能性があります。

1時間以上座りっぱなしで足を動かせない時は、時々足の裏を揉んだり、足首をくるくる回したり、ふくらはぎをマッサージしたりしてみてください。これだけの対策で、下肢静脈の血流が良くなり、小さな血栓は消えてしまいます。

肝臓と目の関係

現代社会の生活や高齢化社会を反映して目の病気や症状を訴える人も増加しています。糖尿病による眼底出血や網膜症、白内障、緑内障などすべて慢性的疾患でこれらの目の病気は、血液の病気です。

肝臓と目はお互いに綿密な関係によって、肝臓が良くなると、それに従って目の状態も良くなります。また、目は胃腸と関係が深いと考えられています。

血液をきれいに保つには?

血液をきれいに保つには、様々な面からのアプローチが必要です。中でも最も重要なのが食事です。日本における病気の推移を見ると、食生活が欧米型のものに傾いていくにつれて、心筋梗塞や脳梗塞など、動物性食品の摂りすぎが原因といわれる病気が増えてきました。

野菜には血栓を溶かす働きもあることがわかってきました。この血栓を溶かす作用については、青魚などに含まれるEPA (エイコサペンタエン酸)やDHA (ドコサヘキサエン酸)にその働きがあることがわかっています。

血液をきれいにする成分とその働き

植物において、血液をきれいにする成分や最後にはどのようなものがあるでしょうか。

ビタミンには、それぞれに血液をきれいに保つことに関係する作用があります。ビタミンCは、コレステロールを体内で燃焼させて、その合成を防ぐ作用があります。余分なコレステロールができるのを防ぎます。また、出血を止め、固める作用もあり、毛細血管を強化する働きもあります。

ビタミンB2は、体内の脂質の代謝に関わっており、脂質を分解して排泄し、過酸化脂質の生成を阻止します。過酸化脂質は動脈硬化の原因となります。また、遺伝子を傷つけ、癌の発生に関係するといわれています。

ビタミンEはビタミンB2同様、脂肪の酸化を防ぎ、過酸化脂質の生成を抑える作用があります。動脈硬化を予防し、結果的に血圧の上昇を抑える作用があります。ビタミンA (カロチンを含む)も、体内の脂肪を燃焼する働きを持ち、燃焼物の1つであるコレステロールが余分にたまるのを防ぎます。

食物繊維は血液中のコレステロールを減らします。カルシウムは血管を丈夫にし、また、神経の興奮から起こる血圧の上昇を防ぐ作用があります。タンパク質には、血液をきれいに保つ働きや血管の弾力を増す作用、体内のナトリウムを尿中に排出して、血圧の上昇を防ぐ作用もあります。下記に含まれるアミノ酸の1種のタウリンは、血液中のコレステロールを減らしたり、血糖値の上昇を抑える作用があります。

血小板凝集を抑え、血栓のできるのを防ぐ作用があるのは、EPA (エイコサペンタエン酸)やDHA (ドコサヘキサエン酸)という成分です。

血液をきれいに保つ作用(条件)

①血管を丈夫にする作用:動脈硬化の進行を予防し、それが血圧上昇を防ぐ。

②血圧の上昇を防ぐ作用:血圧が上昇すると血管に影響し、動脈硬化が促進される。

③脂質を燃焼させる作用:脂質は活性酸素と結びついて過酸化脂質をつくる。この過酸化脂質が血管壁に付着すると、動脈硬化が起こって老化が促進される。

④血小板凝集を抑制し、血栓のできるのを防ぐ。

⑤血糖値の上昇を防ぐ:血液中に糖が多いと、動脈硬化の原因になる。

血液をきれいにする食品

血液をきれいにする様々な成分は、野菜などの植物性食品に1番多く含まれています。ごまに含まれるリグナンには、活性酸素を除去する働きがあります。活性酸素は体内で脂質と結びついて、過酸化脂質となり、動脈硬化の原因になります。抗酸化食品として血液をきれいに保ち、がんの予防にも期待できます。

りんごやみかん、トマトなどにも血液をきれいにする作用があります。りんごは、善玉コレステロールを増やし、動脈硬化を予防します。みかんにも悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きがあります。高血圧によい作用をすることからも、動脈硬化予防に効果があるといえます。トマトは、赤い色素のリグニンに、人参のカロチン以上に活性酸素の害を除去する作用があることがわかっています。

食物性食品の昆布やわかめには血圧を下げ、血管壁のコレステロールを除去する作用があります。赤ワインは悪玉コレステロールが活性酸素によって酸化するのを防ぐ作用があります。チョコレートの原料であるカカオにも動脈硬化を予防する働きがあることがわかっています。1つの食品に偏らず、日常生活の中で上手に利用することが大切です。

コレステロール値を上下させる脂肪酸とは⁉︎

脂肪酸には様々な種類の「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があります。飽和脂肪酸は、だいたい動物性脂肪で肉や乳製品、卵などに含まれています。不飽和脂肪酸は、植物に多く含まれていますが、肉や魚にも含まれています。

不飽和脂肪酸には、「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」があります。多価不飽和脂肪酸は栄養学的に必須のものであることから「必須脂肪酸」ともいわれています。

飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は、私たちの体の中で作り出すことができます。多価不飽和脂肪酸は、私たちの体内で生合成されることがありません。

多価不飽和脂肪酸には、植物油に含まれるリノール酸、動物油にも含まれるα-リノレン酸、肝油に含まれるアラキドン酸、そして背の青い魚に含まれる魚油のエイコサペンタエン酸。(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあります。

多価不飽和脂肪酸は、オメガ3系列と6系列に分けられ、α-リノレン酸やEPA、DHAは3系列に属します。一方、リノール酸とアラキドン酸は6系列に属します。

リノール酸は体に特に必要な脂肪酸で、不足すると脂質や糖脂質が作られなくなることから、細胞は生活活動ができなくなり、その結果、成長が止まったり、子供ができにくくなったりと、具体的な障害が生ずることもあります。

しかし、今日では、その弊害も指摘されています。大量に摂取することで、総コレステロール値が上がります。体に必要なHDLコレステロール(善玉コレステロール)が低下したり、中性脂肪値が上がり血圧を高めたりすることがわかってきました。こうしたことが遠因になって、胆石や心臓病が増えたり、過酸化物の増加によってがんやアレルギーになったり、免疫作用を抑制してしまうなどの例が見られます。

リノール酸は体内でアラキドン酸という脂質に代謝され、アラキドン酸からホルモン用物質が合成されます。その物質のうち、トロンボキサンには、血管を収縮させたり、血小板の凝集性を高めて、血液の粘性を高くする作用があり、血栓ができやすくなるといいます。

血栓を予防するEPAとDHA

EPAとDHAは、コレステロール濃度を低下させ、血小板凝集を抑制して、血栓をできにくくしていることが証明されています。1日1食魚を食べれば、体内のEPA量が理想的に保たれ、血小板凝集が予防できます。 EPAは食べるとすぐに血液中に取り込まれ、八日間位は血液中に残ります。生でも、加熱調理しても、結果は変わりません。

植物性の油脂の成分のほとんどは、不飽和脂肪酸であるリノール酸や、αリノレン酸、オレイン酸などです。ヤシ油とパーム油は飽和脂肪酸をたくさん含んでいます。αリノレン酸を多く含む油脂には、しそ油やエゴマ油、アマニ油などがあります。αリノレン酸などのオメガ3系列の脂肪酸は、がんを抑制し、オメガ6系列のアラキドン酸やリノール酸には、がんを増殖させる作用があることがわかっています。

オリーブ油には、オリンさんが多く含まれていて、全体の70%以上を占めています。オレイン酸は単価不飽和脂肪酸に属します。オレイン酸もリノール酸同様、悪玉コレステロールを減らす力が強力です。しかもリノール酸は、多く摂りすぎると善玉コレステロールを減らしてしまうという弊害がありますが、オレイン酸は多く摂取しても善玉コレステロールを減らすことがありません。むしろ、増加する傾向があるといわれています。

大豆は、血液浄化食品

大豆タンパクがコレステロールを下げるメカニズム、

摂取した大豆タンパクは、肝臓から排出され、胆汁酸と結合し、腸で吸収されるコレステロールを少なくします。血管の内皮細胞のLTLレセプターを活性化して、コレステロールの代謝を円滑にし、血中コレステロール値を低下させるという仕組みがあります。

動物実験では、酸素の活性を阻害して血圧を上げる物質が作られるのを抑え、血圧を下げる効果があることも確認されています。

大豆が腎機能の改善に効果がある

大豆食が腎臓病の一種のネフローゼ症候群の腎機能を守る効果があると報告されています。尿中タンパク排泄量や血清総コレステロール値、LDL (悪玉)コレステロール値などの腎機能の指標となる数値が転移。赤血球細胞膜のリン脂質含量を測り、腎臓障害の人が大豆食を食べると、リン脂肪が好転する。このことから、コレステロール値の低下が腎臓を守ると結論づけています。

天然醸造酢は赤血球の働きを良くする

調味料のお酢にも血管をきれいに保つ効用があります。お酢には天然醸造酢(黒酢)と合成酢、両者をブレンドしたものなどがありますが、血管をきれいにする効果が確認されているのは、天然醸造酢です。

天然醸造図には赤血球変形能を改善する効果があります。赤血球は幅の細い末梢血管の中を、形を変えながら通過していきます。形を変える能力のことを赤血球変形能といいます。

赤血球変形能が低いと血液がサラサラ流れず、全身の血行が悪くなり、高血圧や動脈硬化、血栓、心臓病、脳卒中などの病気を引き起こす原因になります。

天然醸造酢を毎日摂取していると、中性脂肪や総コレステロール、血糖値がいずれも改善することがわかっています。また血圧を下げる作用、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らして動脈硬化を予防する効果、毒物による肝障害を抑制する効果なども確認されています。

食べ過ぎと運動不足の結果として生じる肥満は、血中に中性脂肪を増やします。中性脂肪も血管壁に付着し、動脈硬化を促進させる原因となります。

肥満は血圧を上げ、糖尿病の原因にもなります。糖尿病になると、血液中に糖があふれ、これも動脈硬化の原因になります。肥満は血液を汚す原因に満ちあふれ、動脈硬化を促進させます。

運動が善玉コレステロールを増やすことを考えても、運動が必要性だといえます。

血液の巡りを悪くし、血を汚す原因の1つにストレスがあります。ストレスを受けすぎると、肝臓はダメージを受けます。肝臓は血管が密集している臓器です。その状態や働きが悪くなると、肝臓内の血液循環にも支障をきたします。その影響は当然、全身の血液循環に及ぶと考えられます。

運動や趣味などで、ストレスを溜め込まないうちに、どんどん解消していく手立てを講じるべきです。ストレスは極めて個人的かつメンタルな問題であり、本質的にどうにも避けられない場合もあります。

運動

体を動かす事は、心臓と血液循環の両方の働きを良くするために欠かせません。血液は主に心臓の働きによって全身を巡っています。心臓が正常に働かなくなったら、血液もスムーズに全身を流れません。体を動かす事は、血液をきれいに保つための基本であるといえます。血液は心臓の働きだけによって、全身を巡っているわけではありません。

体、特に足を動かす事は血液を心臓に戻すのに大きな助けとなっています。足を動かすという事は、筋肉を働かせるということで、この筋肉が動くことで、血管、特に末梢の表在(表皮に近いところ)の静脈の弾力を増す、血流を手助けし、戻りよくしています。運動不足になると手足の末端の血流が悪くなって、血はとどこおり、うっ血します。

早足で歩く

血液の流れを良くし、血液をきれいに保つためには、適度に体を動かす必要があります。スポーツ選手のように、過度に行う必要はありません。スポーツのやり過ぎは、活性酸素を体内に多量に発生させるという説もあります。活性酸素は体内で過酸化脂質と結びついて、DNAを傷つけ、ガンを始め、ありとあらゆる病気の発症に関係するといわれています。

適度な運動は、歩くことです。誰もが簡単にできて安全な方法です。健康を守るためには、1日10,000歩を歩くことが理想といわれますが、距離にすると6〜7キロメートルに相当します。この距離を1分間に100メートル程度のスピードで歩くと、歩行時間は、およそ1時間になります。1分間で100メートルのスピードは、結構早い歩き方です。理想の歩き方は、のんびりと散歩というよりは、ある程度の早足で歩くことです。その方が、心臓の酸素摂取量を増やし、心臓の活動を高めます。

足の裏には血液循環のポイントがある

血液の循環を良くする方法として、手や足を揉む方法があります。足裏を揉むと膝から下の血行や、全身の血液循環が良くなります。なぜ血行が良くなるのでしょうか。

足裏を揉むことで、足裏の筋肉は刺激を受け、動きます。筋肉の動きは足の血管、特に表在の静脈血管に作用し刺激を与えます。その結果、心臓へ戻る静脈の流れが促進されます。膝から下のだるさが取れ、すっきりし、足が軽くなるのは、下肢の血流が良くなるためです。

全身の血液循環が良くなるのはどうしてでしょうか。体には、それぞれが関連した箇所というものがあります。足の裏や手にも体の各部分と関連した場所があります。関連は神経によって結ばれている場合もありますし、脳の回路を通して関連してる場合もあります。

先人たちの研究で、足の裏のどの部分と体のどの臓器や器官とが関連しているかということがわかっています。その特定の場所を押したりもんだりすることで、対応する臓器や器官の状態が良くなるという仕組みです。

また、全身の血液循環を良くする方法としては、ふくらはぎを揉む方法があります。ふくらはぎは足の裏に比べて筋肉が多いため、心臓に戻る上、脈の血流を良くするために効果的です。例えば、心臓が弱ってる人の場合、ふくらはぎを揉む方法の方が、血液循環量が増え、心臓の機能も高まりより楽になります。

参考文献:

岡田研吉、三浦於菟『さらさら血液が長生きの秘訣:東洋医学が教える“万病を断つ”健康法』河出書房新社、1998年、201頁