リウマチ性関節炎の治療法

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リウマチ性関節炎の初期症状は、小指などの関節の痛みと腫れが数週間続き、徐々に左右対称の関節へ広がります。特に朝は関節が曲げにくくなり、寒さで症状が悪化し、暖めると痛みや腫れが軽減する傾向があります。

リウマチ性関節炎が進行すると、関節炎が広がり、背骨や内臓への炎症が起こることもあります。
リウマチ性関節炎は単なる関節炎と思われがちですが、実際には白血球が自分の関節を攻撃する自己免疫疾患です。

リウマチ性関節炎の原因

医学部の教科書によれば、リウマチ性関節炎の原因は不明です。一般的な治療は対処療法で、非ステロイド系抗炎症剤が痛み止めとして処方されます。 薬の作用が次第に減少すると、ステロイドが追加されます。ステロイドの作用も次第に失われていき、次に免疫抑制剤が処方されます。リウマチ性関節炎の患者は、これらの薬を長年服用するのが一般的です。

上記の薬は短期的に痛みを止める効果がありますが、副作用が強く、長期間服用すると症状が徐々に悪化します。非ステロイド系抗炎症剤に関しては、関節炎の治療目的で使用する方に、重篤な胃腸合併症が約1.5%の割合で発生しています。さらに、2005年のアメリカ消化器病学会誌によると、非ステロイド系抗炎症剤に関連する胃腸合併症で、年間10万人以上が入院し、1万6500人が死亡していることが明らかになっています。

また、COX-2阻害剤として知られるいくつかの新しい非ステロイド系抗炎症剤は、胃腸への副作用が軽減されているものの、心血管系への副作用リスクが依然として存在しています。残念ながら、これらの非常に強力な薬を服用し続けても、リウマチ関節炎が完全に治癒するケースは存在しないとされています。

さらにリウマチ関節炎は、以下の合併症を引き起こす可能性があります。

・関節変形

・骨粗しょう症

・心血管疾患

・肺疾患

・感染症のリスク増加

病状が進行すると重度の関節障害や身体障害により、クオリティーオブライフが大幅に低下します。

リウマチ関節炎の原因は不明とされていますが、これはひとつの原因ではなくさまざまな要素が重なって病気が発生するためです。
考えられる要因

・遺伝

・ホルモンバランス

・ストレスと疲労

・栄養素

・腸内の細菌バランス

・胃腸の健康

これらの要因のうちひとつだけではリウマチ関節炎が発症するとは考えられませんが、複数の要素が重なることでこの原因不明の難病が発症すると考えられています。 

このなかで重要な要素は、腸内の細菌バランスと胃腸の健康と考えられています。胃腸は、体のなかで最も多くの免疫細胞が集まる場所であり、細菌と白血球がコミュニケーションを取り合っています。ほとんどの細菌は無害ですが、有害な細菌や有益な細菌も含まれます。

腸内の細菌バランスは非常にデリケートで、有益な細菌はビタミンの合成や免疫バランスの維持、有害な細菌の繁殖を防ぐなどの役割がありますが、有害な細菌は毒素を放出し、胃腸を傷つけたり下痢やアレルギーを引き起こしたりすることが分かっています。

免疫細胞が有害な細菌を攻撃するために作り出した抗体が突然、自身の関節に反応することもあります。乳酸菌やビフィズス菌のような有益な細菌は、抗体の生産を調整し、免疫システムにとって非常に重要な存在です。 過度の除菌、清潔な環境、抗生物質の投与は細菌との接触を減らすことにつながり、特に幼少期の細菌接触は免疫獲得と免疫バランスの維持においても重要といえます。

胃腸の健康状態は、腸内細菌の影響を大きく左右します。食物アレルギーや薬により胃腸が傷つくと、有害な細菌の影響をより多く受けます。
非ステロイド系抗炎症剤は胃腸の状態をさらに悪化させ、ステロイドは腸壁を薄くし、細菌に対する抵抗力を低下させ、腸内環境を悪化させます。これにより、リウマチ関節炎の症状が悪化する可能性があります。

リウマチ関節炎の治療

リウマチ関節炎の治療には多方面からのアプローチが必要です。

①炎症のコントロールが重要

②解毒

③免疫システムの正常化

第一段階の炎症コントロールには時間がかかりますが、十分な時間を費やさないと後の治療に影響が出ます。

第一段階:食生活を改善して炎症をコントロール

食生活を見直し、炎症を引き起こしやすい脂肪アラキドン酸(乳製品、牛肉、豚肉、鶏肉、卵などに多く含まれる)の摂取を控えることが大切です。
また、飽和脂肪が酸化しやすく炎症を引き起こすため、動物性食品、揚げ物、加工食品は避けましょう。砂糖も炎症を誘発するため、スイーツはフルーツを除いて避けてください。

逆に炎症を抑える食品は積極的に摂取しましょう。特にアルファ・リノレン酸を多く含むフラックスシードオイル、胡桃、ガンマ・リノレン酸を多く含む月見草オイル、EPAを多く含む新鮮な魚などがおすすめです。

これらはサプリメントからも摂取できます。また、新鮮な野菜やフルーツには、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質が豊富で、炎症を抑えるのに特に効果的です。

また、食事で重要なのは食物アレルギーや隠れた過敏性食品を避けることです。これらの食品を継続的に摂取すると胃腸が荒れ、リウマチ関節炎の症状が悪化します。さらに、アレルギーが引き起こされることで炎症も悪化します。

食物アレルギーや過敏性食品には個人差があるため、注意が必要です。実際には、食事療法だけでは炎症をコントロールするのは難しいのが現実です。そのため、ハーブのウコンやボスウェリア、生姜などを使います。生姜は生のまますりおろして野菜ジュースなどに入れて飲むと効果が一番良いようですが、市販のジュースには糖分が添加されているものが多いので注意してください。

次に栄養素で重要なのがビタミンDです。ビタミンDは現代の生活で最も不足しがちなビタミンです。ビタミンDは正常な免疫力を維持し、炎症を抑える働きの他、健康な胃腸機能を維持する働きもあるため、リウマチ関節炎の治療に特に有効といえるでしょう。

摂取量としては1日あたり4000-6000IUの摂取が最適ですが、ビタミンDの過剰摂取は副作用があるため、医療機関で3か月ごとに血中濃度を測定してもらうことが望ましいです。

炎症をコントロールする方法についてもっと詳しく知りたい方は、別冊『専門医が教える基礎から学ぶ自然療法』の第4章「免疫力を高める」の慢性炎症の項を参考にしてください。

第二段階:胃腸機能、腸内環境の改善と解毒

第二段階では胃腸機能、腸内環境の改善と解毒が行われます。

最も重要なのは食品アレルギーや隠れた過敏性食品を避けることです。腸内環境にとって重要なのは細菌のバランスとリーキーガットです。これらを把握するには、検便などのより詳細な検査が必要になります。通常細菌環境の改善には乳酸菌やビフィズス菌だけでは十分ではありません。悪性菌が繁殖している場合はそれにあった治療が必要になります。

また、全身のデトックスを行うことで、炎症状態を改善、肝臓への負担が軽減され、リウマチ性関節炎の症状を大幅に改善できることが期待されます。そのため、デトックスを行うことを強くおすすめします。デトックスに関してもっと詳しく知りたい方は、別冊『専門医が教える基礎から学ぶ自然療法』の第3章「デトックス」を参考にしてください。

第三段階:免疫システムの正常化

第三段階では免疫システムの正常化です。免疫システムの正常化にはホルモンバランスの改善、ストレスの軽減、生活スタイルの改善など個人にあった治療のほか、ホメオパシー、胃腸関連のリンパ組織の改善を行います。

免疫システムを正常化する詳しい説明は、別冊『専門医が教える基礎から学ぶ自然療法』の第4章「免疫力を高める」内の自己免疫疾患の項を参考にしてください。

薬によるリウマチ関節炎の治療は急性の痛みや炎症を抑えるには有効ですが長期的な治療には統合的な治療が必要になります。
また長期にわたって根気が要る治療になりますので、少しずつ自然治療を実践して体質を改善するようにしていってください。

参考文献

小澤 栄治『自然療法の専門医が教える症状別実践ガイド: ~全49の症状を網羅した自然療法の決定版~ 』Independently published 、2024年、474頁

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