コミュニケーション

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ドラッカーは、「コミュニケーションを単なる意思伝達ではなく、「こちらの期待しているとおりに 相手方を動かし、行動してもらうためのマネジメントの手段」=「交渉行動」と考えており、コミュ ニケーションとは「人を動かす手段である」とも述べている。つまり「コミュニケーションとは、情報の伝達や交換というよりは、むしろ受け手に何をしてもらいたいのかの要求である」と。 人は、 自分が聞きたいこと、期待することしか聞かないという習性を持っている。したがって受け手(交渉相手)も人間であるから、その現実を理解したうえで伝えなければならない。交渉者も受け手に受け皿をつくってあげなければならないという理論である。つまり、聞き手である受け手がいないと対人コミュニケーションは成立しないということである。 たとえば、 A と B の考え方が違う場合、 A が B に対して「あなたは、そう考えているのか。しかし、私は、このように思うのだけど」と認識の相違を伝え、そうした考えを持っている相手を知ることこそが、組織内コミュニケーションの基礎であるとも述べている。 自分の意見を相手に押しつけるのではなく、相手の意見にも耳を傾け、互いに理解を共有し合うことが対人コミュニケーションのモットーであると指摘している。

コミュ ニケーションを成立させるためにはどうすればよいのであろうか?

ドラッカーの答えは明確である。 「相手に分かる言葉で、相手の関心は何かを知り、関心を引くように伝えなければ人は動かない」と述べている(ハーバード交渉術の方程式のコアは、「相手の最大の関心事は何かを探れ」である)。

二人に共通する点は、ビジネスにおいて意思決定を下したり、双方にとって満足のいく交渉やコミュニケーションを推し進めたりするためには、1問題の正体を明らかにし、2異なる意見にも耳を傾け、吟味をし、3多くの判断材料や選択肢を見きわめたうえで、4「意思決定を下せ=交渉の合意をせよ」という理論である。

レイ・バードウィステルは「対面コミュニケーションを行う際、二人の会話では話し言葉によって伝 えられるコミュニケーションの内容(メッセージ)は、全体の 35%にしかすぎず、残りの 65%は、 身振り、身のこなし、話し振り、動作、ジェスチャーや相手との間のとり方など、話し言葉以外の方法・手段によって伝えられる」と述べている(御手洗昭治『異文化にみる非言語コミュニケーショ ン』ゆまに書房、2000年)。この研究を基にアルバート・メラビアンは、人が他人から受け取る情報  (感情や態度など)の割合について、次のように結論している。 ・顔の表情 55% ・声の質(高 低)・大きさ・テンポ 38% ・話す言葉の内容 7% この研究成果は 50 年以上経ってもなお、多く のコミュニケーション研修で引用されている。

Mehrabian, A. (1971). Silent messages. pdf

e-edu.nbu.bg/pluginfile.php/855150/mod_resource/content/1/Albert-Mehrabian – Silent Messages 1971 – red.size.pdf

御手洗昭治、 秋沢伸哉『問題解決をはかる:ハーバード流交渉戦略』東洋経済新報社、227頁、2013年

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