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世界の地域格差を生みだした理由とは?

なぜ、世界の富や権力は現在の形で分配されているのでしょうか?

なぜ、人類は五つの大陸で異なる発展をとげたのでしょうか?

地域間の差異は生活水準の格差となり、今日に影を落としています。例えば、アフリカとヨーロッパ間の格差は、経済力インフラ、教育などの側面で存在しています。

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いつ頃から世界は不均衡な状況となっているのでしょうか?

ヨーロッパ諸国が世界の各地を植民地化し始めたのは、西暦1500年代のことでした。この時点ですでに、技術や政治の発展において、世界の大陸間の格差は存在したことになります。

現代世界の不均衡を生み出した直接の要因は、西暦1500年時点における技術や政治構造の各大陸間の格差だといえます。

ヨーロッパやアジア、北アフリカでは国家や帝国が形成され、人々は金属製の道具を使う生活をしていた。

アメリカ大陸では、アステカ人とインカ人がそれぞれに帝国を形成し、石器を道具として使っていた。オーストラリア大陸やニューギニアの先住民、太平洋諸島の先住民、南北アメリカ大陸の先住民、サハラ砂漠以南の一部の地域の先住民などの多くは農耕部族民であったり、石器を使う狩猟採集民の小規模集団であったりした。

当時、鋼鉄製の武器を持った帝国は、石器や木器で戦う部族を侵略し、征服して滅ぼすことができました。

なぜ、世界は西暦1500年の時点でこのようになっていたのでしょうか?

なぜ、世界のさまざまな民族がそれぞれに異なる歴史の経路をたどったのか?

人類社会の歴史は、世界の様々な場所で、それぞれに異なった発展を遂げてきました。

なぜ、国や地域間の差異が生まれたのか?

文字を持ち、金属製の道具を使い、産業発達させた社会が生まれた地域がある。文字を持たない農耕社会しか登場しなかった地域もある。

学名

私たち現代人の学名はホモ・サピエンス(Homo sapiens)です。生物につけられる世界共通の名称である学名は、18世紀の生物学者カール・フォン・リンネが提唱した二名法と呼ばれる方法によって名付けられています。生物を属名と種名で表すので、人類の場合はホモが属名で、サピエンスが種名です。ラテン語でホモは「人」、サピエンスは「賢い」という意味です。ホモ・サピエンスは賢い人という意味になります。

属というのは、ある程度、近縁関係にある種をまとめたカテゴリーです。属と種は、氏名に例えると姓と名の関係になります。ホモ属に関しては、現在生存しているのはサピエンス種だけで、世界中のすべての人間は生物学的にはホモ・サピエンスという1つの種になります。人種というカテゴリーは、さらに下位の区分になります

ホモ・サピエンスへの歩み

人類の歴史は、今から約700年前にアフリカから始まりました。

その頃、アフリカに生息していた類人猿がゴリラの祖先、チンパンジーの祖先、現生人類(ホモ・サピエンス)の祖先へと枝分かれしました。

700万年前の分岐から、現在の私たちに至るまでには、いくつもの種が存在していた。

ホモ属と認められる種が登場するのは、およそ250万〜200万年前だと考えられている。

最古のホモ・サピエンスが登場したのは、30万〜20万年前のアフリカとされている。

ホモ・サピエンスの祖先にあたる初期人類(プロトヒューマン)は、アウストラロピテクス・アフリカーヌス、ホモ・ハビリス、ホモ・エレクトゥスの3種類で、この順番で出現した。

篠田謙一『人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』中央公論新社、2022年、294頁

ジャレド・ダイヤモンド『銃・病原菌・鉄(上)1万3000年にわたる人類史の謎』倉骨彰訳、草思社、2000年、317頁

日本博物学倶楽部『人類誕生から大和朝廷までの700万年史』PHP研究所、2013年、305頁