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宮本輝『錦繍』新潮文庫、新潮社、1985年、270頁

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愛し合いながらも別れた夫婦が、10年振りに再会。

お互いの空白の10年と別れる原因となった事件、お互いに話し合うことのなかった当時の心模様を手紙のやり取りを通じて語り合う愛と再生の物語。

「もう二度と、あなたとはお目にかかることはないと思っておりましたのに、はからずもあのような形で再会し、すっかりお変わりになってしまったお顔立ちやら目の光やらを拝見して、私は迷いに迷い、考えに考え抜いて、とうとう思いつくすべての方法を講じて、あなたの御住所を調べ、このような手紙を投函することになってしまいました。」

往復書簡という形式で書かれた小説です。

そのため、読者はお互いのそれぞれに宛てた手紙を読み進めることになります。

手紙の文面から色鮮やかな情景と物語を目に浮かべつつ、男女の心情を感じ取れる優れた作品です。

また、書簡の性質なのか書き手の上手さなのか、手紙のやり取りをする時間の流れが、お互いの心境を絶妙に表現していました。

最新作『灯台からの響き』集英社 、408頁)も2020年9月に発送されました。

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