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「アイデアのちから」日経BP社

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。


チップ ハース, ダン ハース

アイデアのちから」を読んで学びとなった箇所をメモします。

チップ・ハース(Chip Heath)
スタンフォード大学経営学部教授(組織行動論)

ダン・ハース(Dan Heath)
デューク・コーポレートエデュケーションのコンサルタント。ニューメディア教科書会社「シンクウェル」の共同創設者。

全米でも150万部を超える「支持」を得た本書は、実はこれも全米ベストセラーのマルコム・グラッドウェル著『ティッピング・ポイント』(邦訳は『急に売れ始めるにはワケがある』SB文庫)に触発されて書かれた。
『ティッピング・ポイント』では、流行や社会現象を起こすものには、(1)少数の目利きに浸透する (2)記憶に粘る (3)背景が味方する の3つの法則があることを明らかにした。
本書は(2)の「記憶に粘る」という点をより深く、より多角的に取り上げています。

人を動かし、世の中を動かす凄いアイデアの仕組みとは?
ジョン・F・ケネディ米大統領の「人類を月へ」という演説はアメリカ国民を熱狂させ、ソニー創業者の井深大の「ポケットに入るラジオ」というコンセプトは、ソニーを世界企業に飛躍させた。
すごいアイデアは人を動かし、歴史を動かす。
そうした具体例が豊富に盛り込まれたアイデア創造のヒントになる内容となっています。

以下、本書からの抜粋です。

序章
世間で成功するアイデアを育てるには、どうすればいいのか? アイデアを効果的に伝える方法、アイデアに影響力をもたせる方法に頭を悩ませている人は多い。

いいアイデアが現実世界で日の目を見ないことも多い。

…真実で価値のあるアイデアを作り話に負けないほど広めることは可能なのだろうか?

私たちが本書を執筆したのは、読者がアイデアを記憶に焼きつくものにできるよう、手助けするためだ。ここで言う「記憶に焼きつく」とは、理解され、記憶に残り、持続的な影響力をもつ、つまり相手の意見や行動を変えることだ。

本書では、アイデアを記憶に粘る(焼きつく)ものにする「特徴」を突き止める。…私たちの興味は、効果的なアイデアがどのように組み立てられるか、という点にある。

私たちは記憶に焼きつくアイデアの研究に没頭するなかで、6つの共通原則に繰り返し出会った。

原則1――単純明快である
アイデアの核となる部分をどうやって見きわめたらいいのだろうか。
きっぱりと優先順位を決めること。短ければいいというものではないし、インパクトが強いだけなのも好ましくない。理想はことわざである。単純明快であって、しかも重みや深みがなければいけない。単純明快であることの究極のお手本は「自分がしてもらいたいことを、他人にせよ」という聖書のことばだ。たった一行にすぎないが、生涯この格言を守ろうとする人がいるほど深い。

原則2――意外性がある
アイデアに関心を持ってもらうには、どうすればいいのか? アイデアを理解させるのに時間がかかる場合、どうやって興味を持続させるのか? それには、予想を裏切る必要がある。相手の裏をかくのだ。…驚きを利用して関心をつかむ手もある。驚きという感情には、警戒感と集中力を高める機能がある。だが、驚きは長続きしない。アイデアが生き残るには、興味と好奇心を生み出す必要がある。

原則3――具体的である
アイデアをきちんと理解してもらうには、どうすればいいのか? 人間の行動や五感を通じてアイデアを説明する必要がある。ビジネスコミュニケーションの多くは、ここでつまずく。企業の社是、シナジー効果、戦略、ビジョンといったものの多くは、あまりに曖昧で意味をなさない。もともと記憶に焼きつきやすいアイデアは、具体的なイメージをたっぷり備えている。それは、人間の脳が具体的なデータを記憶するようにできているからだ。「二兎を追う者は、一兎をも得ず」のように、ことわざの多くは、抽象的な真実を具体的な言葉に置き換えたものだ。アイデアを聴き手全員に同じように解釈してもらうためには、具体的に話すしかない。

原則4――信頼性がある
アイデアを信じてもらうには、どうすればいいのか?…アイデアを記憶に焼きつけるためには、アイデア自体に信頼性がなくてはならない。そのためには、アイデアを相手に検証してもらう必要がある。「試してから買え」はアイデアにも通じる。何かを証明しようとするとき、数字に頼る人が多いが、このやり方はたいてい失敗する。1980年米大統領選でロナルド・レーガンとジミー・カーターが討論したとき、レーガンは統計で経済の停滞ぶりを示す代わりに、一言こう言った。
「投票する前に、あなたの暮らしが4年前よりよくなったかどうか自問してください」彼はたった一つのシンプルな質問をぶつけることで、有権者に自ら検証してもらったのだ。

原則5――感情に訴える
アイデアを心にかけてもらうには、どうすればいいのか? それには、相手の感情を掻き立てればいい。映画館のポップコーンでは、不健康に対する嫌悪感を掻き立てた。「37グラム」という統計値は何の感情にも訴えない。ある調査結果によると、人は貧困地域全体よりも恵まれない一人に寄付をしたがる。人間は、抽象的なものではなく人間に何かを感じるのだ。とはいえ、どんな感情に訴えるべきか判断に迷うこともある。例えば、10代の若者に喫煙がもたらす結果の恐ろしさを説いても、禁煙させるのは難しい。むしろ、大手タバコ会社の欺瞞に対する憤りを煽るのが近道だ。

原則6――物語性がある
アイデアを行動に移してもらうには、どうすればいいのか? 物語を伝えればいい。消防士は消火活動を終えるたびに体験談を交わす。そうすることで、体験値を何倍にも増やしているのだ。長年、人の体験談を聞いていれば、現場で起こりうる危険な状況や適切な対処法のカタログが頭の中にできてくる。調査によると、ある状況を頭の中でリハーサルしておくと、実際にその状況になったとき、適切な行動ができる。同様に、物語を聞くことによって、頭の中での飛行シミュレーションと同様に、迅速かつ効果的に対処するための備えができる。

…成功するアイデアをつくるためのチェックリストは、
「単純明快で、意外性があり、具体的で、信頼性があって、感情に訴える物語(Simple Unexpected Concrete Credentialed Emotional Story)」
かどうかなのだ。鋭い読者ならお気づきのように、これを省略するとSUCCESs(成功)となる。もちろん単なる偶然だ。

 

アイデアを聴き手の記憶に焼きつけ、後々まで役立たせるためには、聴き手を次のような状態にする必要がある。

(一)関心を払う・・・意外性がある
(二)理解し、記憶する・・・具体的である
(三)同意する、あるいは信じる・・・信頼性がある
(四)心にかける・・・感情に訴える
(五)そのアイデアに基づいて行動できるようになる・・・物語性がある

だから、聴き手が自分のアイデアを理解しているかどうか推測するより、「自分のアイデアは具体的か」と自問した方がよいし、聴き手が心にかけているかどうか気にするよりも、「自分のアイデアは感情に訴えるか、マズローの欲求段階の底辺を脱しているか、分析の帽子を無理やり被せてはいないか、共感できるものになっているか」と自問するべきだ(ちなみに、右のリストには「単純明快さ」はない。なぜなら、メッセージの核を見出し、できるだけ簡潔にするというのは、主に「答え」の段階のことだから。ただし、単純明快さは全段階を通じて有用だし、聴き手の理解と行動を促すうえで特に役立つ)。
したがって、SUCCESsチェックリストは、コミュニケーション上の問題を解決するのに絶好の手段だ。

発売日:2008/11/13
出版社:日経BP社
単行本:360ページ

引用が長くなりましたが、本書には、アイデアを「記憶に焼きつける」ノウハウがぎっしりです。
また、本書は「記憶に焼きつくアイデア」の6つの共通原則が具体例(物語)と共に紹介されているため、内容がわかりやすくなっています。
また、本書には「アイデアを記憶に焼きつけるための手引き」という形で、本書の内容がコンパクトにまとめられたページもあります。

本書の内容を活用することにより、日常生活や仕事がより改善されることは、間違いないと思います。

是非、本書をヒモ解いてみてください。

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