健康維持と血液の関係

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私たちが健康を保つには、様々な努力が必要です。「睡眠」を十分に取ることや適度な「運動」、バランスの良い「食事」、ストレスにあらわれるような「精神」の問題もあります。

日本人の3大死因は汚れた血液が原因

日本人の死亡原因は1位がガンで、脳卒中、心臓病(心筋梗塞など)と続きます。2位の脳卒中と3位の心臓病を足すと、がんを抜いて、死亡原因のトップになります。この2つの病気は、原因となる病態が動脈硬化です。いずれも、血管の老化である動脈硬化を背景にして起こる循環器系の病気です。動脈硬化は、血管の内壁に脂質などがたまって、血管の内腔が狭くなり、血管が柔軟性を失って硬く、もろくて破れやすくなった状態です。血管の内壁にこびりついた脂質は主にコレステロールです。そのため血液はドロドロで、血管の分かれ目などで滞っています。その結果、最終的には、血管の一部分が詰まり、脳梗塞や心筋梗塞が発症するのです。血管は酸素や栄養を運ぶ重要な器官です。血液の循環が悪くなったり、血液が汚れたりすると、血管の壁には老廃物が溜まります。心臓や脳へ酸素や栄養素をスムーズに運ぶことができず、血液が滞ったり固まったりします。その結果、血管に血栓ができたり、血管が収縮して脳や心臓の血管を塞いでしまいます。それが脳の血管に起きると脳梗塞や脳動脈硬化症を発症します。血栓がたくさんできると、脳の血流が阻害されるため、老人性痴呆症の原因になると考えられています。心臓の血管では狭心症や心筋梗塞に、頸部の血管では頸動脈狭窄症に、腹部の動脈では腹部大動脈瘤に、下肢動脈では閉塞性動脈硬化症などの病気が発生します。血栓は遠くの血管に飛び、例えば足にできた血栓が肺に飛び、肺塞栓症を引き起こすなどのケースもあります。これらの病気は、かつては日本人に少なく、欧米人に多く見られました。それが昭和40年代から日本人に増え続けています。こうした変化の背景には食生活の変化があると考えられています。昭和40年代を境に穀類、魚、野菜、芋類中心の日本の伝統型食事から、肉をはじめとする動物性食品中心の欧米型食事に変わってきた。日本は経済的に豊かになり、食事も贅沢になってきた。肥満の人が増えてきたのもその頃からです。中性脂肪やコレステロール値が上がり、動脈硬化の人が増え、脳梗塞や心筋梗塞で命を落とす人たちが目立ってきた。社会問題化しつつある、老人性痴呆症もここに起因します。微小の脳梗塞は30代から始まっていることがわかってきました。本人には自覚症状のない軽度の脳梗塞は”無症候性脳梗塞”と診断され、将来の脳梗塞や老人性痴呆のリスクファクターとして注目を集めています。

脳梗塞や心筋梗塞は、健康を害するといわれてきた「汚れた血液」によって引き起こされる典型的な病気である。血液をきれいに保つ事は、普段から少し努力することで可能で、それが健康維持、長寿への基本であり、鍵である。

血液をきれいに保つということは、日々の生活の中で積極的に自分で工夫をして行う性質のものです。きれいな血液とは、どういうものか。血液をきれいに保つための具体的な方法「血液がきれい、汚い」ということが、動脈硬化やそれを背景に起きる心筋梗塞、脳梗塞などの病気の発症と深い関わりがある。コレステロールや高脂血症、動脈硬化などは、血液を汚す条件といえる。

「血液がきれい、汚い」とは、医学的にどういうことなのか。動脈硬化が進んだ。血管の壁には、コレステロールや中性脂肪などの脂質がたくさん付着。私たちの体は、特定の成分が過剰にあると、それらは血液中に溜まってきます。コレステロールや中性脂肪、尿酸、ブドウ糖、ビリルビンなどは血液中に一定の量が存在します。それらの物質が体内に過剰にあると、血液中の量も増えてきます。汚れた血液は、脳梗塞や心筋梗塞ばかりでなく、老化、がんや女性特有の病気を始め、ありとあらゆる病気の発症に関わりがあります。現代の生活は昔に比べ血液を汚す条件や原因が満ちています。

がんや脳梗塞、糖尿病、子宮筋腫、子宮内膜症といった現代病、生活習慣病に対する漢方治療

血液中の赤血球などの成分の量は大体決まっていて、異常に多かったり少なかったりするのは、体に何らかの異常が起きているためです。

赤血球はその形態に異常が現れることがあります。

ストレスが血管や血液に悪い影響及ぼす、ストレスが足を汚す

夏、熱帯夜が続くと、暑さのために眠れず、睡眠不足になって、それが引き金で夏バテを起こす事は珍しくありません。血液というのは、熱や寒さに対して絶えず変化し、体温を一定に保とうとしている。冬、寒さにさらされた時、鳥肌が立つことがあります。この時、末梢の血管は収縮して、毛穴の汗腺の穴も塞がります。体内の温度が逃げるのを防ぎ、体温の低下を防いでいます。この時、心臓は活発に動き、腕や足の末端の血液を吸い上げ、脳や体内の血流を良くし、体温を保とうとしているのです。逆に、夏などの気温が高いときには、末梢の血管は拡張し、皮膚表面の血流を良くし、皮膚の毛穴を開き、余分な熱を汗として発散して、体温の上昇を防ごうとします。

急な寒さにさらされると、血管が不用意に収縮するために、心臓血管系に負担がかかって、脳や心臓にトラブルを起こしかねません。高齢者で高血圧や動脈硬化のある人が、暖かい部屋から急に寒いトイレや風呂場に行って、脳卒中や心筋梗塞を起こすことがあります。これは、温度の変化に血液循環がとっさに対応できないからです。

夏、冷房の効いた部屋から炎天下の猛暑の中に出た時も、血液分布が状況に対応できず、脳卒中や心筋梗塞を起こす危険性があります。

杉の花粉が主な原因の花粉症は、花粉が多く、飛散する。郊外よりも、都心の方が発症する率が高い。排気ガスに含まれる成分と、花粉のタンパク質が結びつくと、これが免疫機能に左右することがわかっています。

心臓が血液を送り出す時、その動きを助けてくれるのは足の筋肉です。血液は静脈を通って心臓へ戻りますが、足を動かすことで、筋肉は動き、血液循環を促すのです。そのため、血液はスムーズに心臓に戻ることができます。これが、足は第二の心臓と呼ばれるゆえんでもあります。運動不足になると、肺の換気機能が衰え、酸素の摂取量も減少して、肺機能が低下し、心臓が血液を送り出す働きも弱くなります。運動不足は血液循環を悪くし、ひいては、血液を汚す原因になります。

ストレスは血液にどう反応するか

人は緊張すると、体内では交感神経や下垂体副腎皮質系のホルモンが分泌され、血圧が上昇し、同時にブドウ糖やコレステロール、脂肪酸などを増加させます。ブドウ糖はエネルギー源の基本ですし、コレステロールは血液中に含まれる脂肪分で、副腎皮質ホルモンや性ホルモンの原料になるなど、人体には欠かせない役割を持つものです。脂肪酸は、普段は中性脂肪として皮下脂肪に蓄えられていますが、必要が生じたときには、エネルギー源として、ブドウ糖に変えられます。ストレスなどの外部からの攻撃を受けた緊急時には、これらを増加させます。緊張時には必要があって増加するブドウ糖やコレステロール、脂肪酸ですが、その時々で燃焼させ消費するべきものです。あまりにもストレスを受けすぎると、多量に生じたこれらの物質を燃焼しきれずに、コレステロールや脂肪酸を血液中に余分に貯める結果になります。過剰なストレスは血を固まりやすくすると言う報告もあります。

1957年フリードマンらは、ストレスが血中コレステロール値や血液凝固にどう影響を与えるかについて会計・経理担当者を対象に調べた。血中コレステロール値は、超多忙な時期に高くなり、あまり忙しくない時期には低い数値を示した。血液の凝固についても、多忙な時期には凝固は著しく亢進しており、忙しくない時期には平常通りの状態であった。ストレスが血中コレステロール値を上昇させ、血液凝固を固まりやすくする。

カロリー摂取過多と肥満は、血中のコレステロールや中性脂肪などの脂質を増やして動脈硬化の原因になります。血圧も上げ動脈硬化の引き金になります。また、栄養の取りすぎや肥満が引き起こす病気には、糖尿病や痛風がありますが、これらの病気も血液を汚します。

外食する機会が多いことも食の乱れの原因です。季節に関係なく、冷たいビールや炭酸飲料を飲む習慣、動物性食品に偏る傾向、加工食品やインスタント食品の氾濫も良くありません。加工食品は、ミネラルなどの微量元素の不足をきたします。

血液は「血球」と呼ばれる小さい粒の有形成分と、栄養素や電解質を含んだ「血漿」と呼ばれる液体成分からなっています。その割合は、血球が約4割で、残りの約6割が血漿となります。血液は主に骨髄でつくられます。作られた血液は、骨髄では赤血球とリンパ球以外の白血球、血小板がつくられ、リンパ球だけは主にリンパ節や脾臓でつくられます。

血液の役割

赤血球:ガス交換、体の末端に酸素を運び、各組織からは二酸化炭素を持ち帰る。

血漿:栄養素の運搬、体の各組織に栄養素を運び、新陳代謝でできた方、老廃物を持ち帰り排泄させる。

白血球:有害物質の防御、外部から侵入した細菌やウィルスなどを攻撃し、体を守るという免疫作用を持つ

血小板:止血作用、血管が破れたり切れたりしたときに血液は凝固して血栓を作り、出血を止める

血漿:ホルモンなどの運搬、体の細胞や内臓の活動を促すホルモンやビタミンなどを運ぶ。また体温の調整、主に体の中心部で発生する熱を、全身をめぐる血管で拡散し、体温を調整する。

参考文献:

岡田研吉、三浦於菟『さらさら血液が長生きの秘訣:東洋医学が教える“万病を断つ”健康法』河出書房新社、1998年、201頁