便秘の改善
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胃腸の疾患で最も多いのは便秘です。最低でも1日1回の便通がない場合、腸内で有害な細菌が繁殖する恐れがあります。これらの細菌は様々な毒素を排出し続けます。つまり、便通が起こるまで腸内から毒素が発生し続けることになります。
これらの毒素は体内を循環し、アレルギー、免疫疾患、偏頭痛、生理不順、がん、腸炎などのさまざまな慢性疾患の原因になると考えられています。
したがって、自然療法では健康はすべて胃腸からはじまり、便秘の改善が健康において最も重要な課題となるのです。
便秘のタイプ
無気力タイプ
これは大腸の動きが遅く、排便がなかなか起こらないタイプの便秘です。無気力タイプの便秘は主に欧米化された食事による食物繊維の不足と糖分の過剰摂取が原因です。そのほかには、座りっぱなしの生活、運動不足、水分不足、食品アレルギー、食品過敏症、妊娠、加齢も無気力タイプの原因となります。
痙攣性タイプ
このタイプは大腸の筋肉が慢性的に緊張し、排便が妨げられてしまいます。痙攣性タイプの便秘は、神経の働きや精神的な要素によるものが多いです。
便秘改善のための食事
便秘の改善には、まず何より野菜やフルーツをたくさん食べて、食物繊維の摂取を増やすことが重要です。また、食物繊維は便の量を増やすことで腸を刺激して排便を促します。食物繊維を十分に摂取しているかどうかの目安は、便が水に浮くかどうかです。食物繊維は腸内の細菌によって発酵され、ガスを発生させます。そのため、食物繊維を多く含む便はガスを幾分か含み、水に浮くようになります。(ただし、例外として胆石を取り除いてしまったり、油を消化できない場合は、便が水に浮くことがあります。)
また、白米を玄米に、白パンを全粒粉のパンに置き換えることでも、食物繊維の摂取を増やすことにつながります。
便秘解消のための生活習慣
水分補給
便秘を解消するために生活習慣のなかで最も重要となるのが水分補給です。水分不足だと、便が硬くなり、ボリュームも少なくなり、排便するために力を強く入れる必要が出てきます。
一般的には1日に8杯の水を飲むことが最適だといわれていますが、実際のところは1時間半に1回トイレに行く程度の水分補給が目安となります。
運動
運動不足や長時間座っている生活スタイルは、腸の動きをさらに遅くしてしまうため、毎日最低30分は歩くようにしましょう。
神経が緊張している状態では、なかなか排便ができないことがあります。体の緊張を緩めることで、副交感神経が刺激され、自然な排便を促すことができます。特に、骨盤底筋群や体幹の緊張は排便を妨げるため、骨盤周りや下半身のヨガやストレッチが効果的です。コブラのポーズ、ねじりのポーズ、チェアポーズ、三角のポーズなどは、便秘解消におすすめのポーズです。
便秘を解消するサプリメント
食事内容をすぐに変えることができない場合は、食物繊維のサプリメントをおすすめします。なかでも、オオバコのパウダーは無気力型の便秘の改善をサポートしてくれる優秀な栄養素です。ただし、オオバコは痙攣性の便秘の方が使用すると症状が悪化するため、注意してください。
便秘に効果的なサプリメントには、プロバイオティクスとマグネシウムがあります。プロバイオティクスは、乳酸菌などの善玉菌が腸内の細菌環境を整えてくれます。腸内の細菌環境を整えることで、胃腸の動きがスムーズになり、便通も改善されます。 マグネシウムは大腸内の水分量を増やし、便を柔らかくする作用があります。また、マグネシウムは筋肉の緊張を解きほぐす役割もあり、痙攣性の便秘にも効果的です。
便秘に効果的なその他の治療法
痙攣性の便秘には、温水を使った浣腸、お腹を温める(温灸、カイロなど)、手技の治療方法のヴィセラルマニピュレーション、クレニオセイクロ療法、バイオフィードバック、生薬のホップ、バレリアン(セイヨウカノコソウ)、セントジョーンスワート、ラベンダーなどを組み合わせて取り入れると効果的です。
便秘が解消しない場合には、医師の診断を受けるようにしてください。便秘の原因は薬、甲状腺低下症、大腸がんなどさまざまですので、専門家の判断が重要となります。
参考文献
小澤 栄治『自然療法の専門医が教える症状別実践ガイド: ~全49の症状を網羅した自然療法の決定版~ 』Independently published 、2024年、474頁